研究課題/領域番号 |
07240222
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 公 京都大学, 工学部, 教授 (00026048)
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研究分担者 |
松尾 二郎 京都大学, 工学部, 助手 (40263123)
高岡 義寛 京都大学, 工学部, 助教授 (90135525)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1995年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | クラスターイオン / 表面反応 / エッチング / スパッタリング / 非線形 |
研究概要 |
イオンビーム技術は先端材料の開発には不可欠な重要技術として活用されているが、数keV以下の極低エネルギーイオンを用いた表面改質法など新しい技術の開発が行われている。常温ガス物質から数百〜数千の原子集団であるクラスターを形成しイオンビームとし、加速して固体表面に照射するガスクラスターイオンビーム技術は、従来のイオンビーム技術とは異なる原理に基づいた新たなイオンビーム技術として期待されている。これまでに様々なガスのクラスター化が可能であることを示してきたが、プロセスに応じて最適なガスを選択できれば、さらに応用範囲が広がると考えられる。今回、SF_6クラスターイオンビームの生成を行い、W、 Siにおける反応性スパッタリングについて検討した。 SF_6クラスターをSiやWに照射した場合、スパッタ率の急激な増大が観測される。これは、SiはSiF_X、WはWF_6といった揮発性反応生成物を生成し、物理的スパッタリングと反応性スパッタリングが生じているからである。このときのWのスパッタ率は300程度、Siのスパッタ率は1300程度であり、平均クラスターサイズが2000程度であることを考えると非常に大きな反応確率を示している。SF_6分子は、室温では全くSiと反応しない。SiとSF_6が反応するためには、SF_6分子の解離が必要であり、SF_6クラスターの崩壊とともに、SF_6分子の解離が起こると考えられる。このような、衝突により誘起された分子の解離過程は、クラスターの持つ運動エネルギーを化学反応に利用した例であり、クラスターの加速エネルギーを変化させることにより、容易に制御することが可能であると考えられる。 このようなクラスター衝突により誘起される反応は、イオンの加速電圧によって容易に制御できるので微細加工や薄膜形成と様々な工学分野への応用が期待される。今後、このようなクラスターの持つ運動エネルギーを化学反応促進に用いることのできる新たな反応系の探査とクラスター衝突の反応ダイナミクスを調べていく予定である。
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