研究課題/領域番号 |
07240224
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
橋本 健朗 東京都立大学, 教養部, 助教授 (40202254)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 水和クラスター / ナトリウム原子 / リチウム原子 / イオン化ポテンシャル / 電子脱離エネルギー / 光電子分光 / 非経験的分子軌道計算 / 溶媒和電子 |
研究概要 |
非経験的分子軌道計算により、1、Li(H2O)nとNa(H2O)nとの比較研究、2、溶媒和Na負イオンの研究を行なった。1ではこれまで研究してきたNa(H2O)nクラスターと比較する形で、Li(H2O)nの構造とイオン化ポテンシャル(IP)のサイズ依存性を理論的に予測した。Li(H2O)nは水にLiが囲まれた内包構造をとり、構造はNa(H2O)nと異なるがIpはNa(H2O)nと同様にnが4以上で一定となってバルク水クラスター負イオンの垂直電子脱離エネルギー(VDE)に一致する。この特異なIpのサイズ依存性を示すクラスターの共通点として、クラスター表面に脱理電子が局在する性質を見い出した。内包型Li(HO)nではLi原子が電子を放して、イオンと溶媒和電子という2中心型電子構造をとることでこの電子分布を実現している。2では最近行なわれた[Na(H2O)n]^-と[Na(NH3)n]^-のVDEのn依存性の測定結果を解析した。[Na(H2O)n]^-では、Na-H結合と水の水素結合で安定化した構造が最安定であり中性と負イオンの構造は大きく異なるため、負イオンから中性分子のポテンシャルミニマムに近い構造への遷移は困難と考えられる。[Na(NH3)n]^-はNa-N結合を最大限もつ構造が安定である。負イオン構造での中性励起状態への遷移に対応するVDEの計算値は[Na(H2O)n]^-でも[Na(NH3)n]^-でも、実験とよく一致した。負イオンの構造での中性[Na(H2O)n]クラスターの不対電子はほぼNaの周りに存在するが、[Na(NH3)n]ではNa上に局在するのではなく、nの増加とともにクラスター全体の空間に非常に広く拡がっていくことが分かった。この[Na(H2O)n]と[Na(NH3)n]の電子構造の違いとVDEのサイズ依存性はよく対応する。これらを踏まえて、Na2の溶媒和と解離反応機構の研究を進めている。
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