研究課題/領域番号 |
07240228
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
首藤 啓 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (60206258)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1995年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | クラスター / エネルギー緩和 / 内部自由度 / ネコロショフの定理 / ハミルトン系 / 1 / fスペクトル |
研究概要 |
本研究は、現実のクラスター・溶液の自由間のエネルギー緩和の諸性質を、多自由度のハミルトン系の問題として捉え直すことによって、物質の個性にできるだけ依らない、普遍的な特性を抽出することを目的とした。特にここでは、水クラスターを始めとする幾つかの物質の分子動力学計算によって実際に報告されている"遅い緩和"の原因を、内部自由度間のエネルギー緩和という立場から考察した。これまで得られているハミルトン系の摂動論を根拠にした、遅い緩和の議論はすべて、近可積分系に対するもので、具体的な対象としては、結晶中の格子振動モデルのような固相中の問題であった。液相のような系全体を近可積分とみなすことのできないような系に対しては、すべての自由度に対して近可積分性を想定することは困難があり、ここでは、残された可能性として、並進回転などの内部自由度をそれぞれ部分系とみなし、その各部分系間の弱い結合に遅い緩和の原因を求めるという立場に立った。現在までのところ、水をあるパラメータ空間の一点に含む剛体結合系のモデルを考案し、その分子動力学計算用のプログラムを作成した。いくつかの予備的な計算を行った結果、水のように、遅い緩和を示すような分子の場合、並進に対する基準振動スペクトルと、回転に対する基準振動スペクトルの重なりは、遅い緩和を示さない分子系に比較して小さく、並進と回転の結合が小さいという結果を得た。また、以上の作業仮設の基に、既に得られていた、誘電緩和、中性子散乱、ラマン散乱スペクトルに対するデータを見直したところ、同一分子系でも、観測する量が変わると、緩和の性質が異なって見えることに対する統一的な理由づけを与えることが明かになった。
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