研究概要 |
2′,3′-O-イソプロピリデンウリジンとp-スチレンスルホニルクロリドを反応して得られる2′,3′-O-イソプロピリデンウリジンp-スチレンスルホナ-トをモノマーとして重合→脱保護および脱保護→重合という二つの経路でウリジンを有するポリマーを合成した。脱保護の際に副反応が起こることから、脱保護→重合の経路で得られたポリマーの方が均一な構造をしていることもわかった。また、より高収率な合成のために、ウリジンのC-5′位を選択的にトリチル化し、アセチル化、脱トリチル化の後、p-スチレンスルホニルクロリドと反応して得られたモノマーを重合し、ポリマーをアンモニア飽和メタノールにより脱アセチル化してウリジンを有するポリマーを得た。一方、ウリジンp-スチレンスルホナ-トモノマーと糖残基を有するモノマーとの共重合により目的とするヌクレオシドおよび糖を有する高分子を合成した。 ウリジンを有するポリスチレンはガラクトシルトランスフェラーゼを阻害した。低分子量の競合阻害剤であるUDPやUMPと比較してかなり強い阻害作用(ドナー基質の1%の濃度で75%の阻害活性)であったが、阻害形態については不明である。多官能の高分子阻害剤であるためにデータにばらつきが生じたことが原因であろうと考えられる。強い阻害作用の主な要因としては、高分子阻害剤を用いたことによる高分子効果のため、見かけの結合定数が大きくなったためと考えられる。一方、糖残基のみを有するポリスチレン誘導体では酵素阻害作用がまったくみられない。すなわち、本研究で用いた酵素は、基質である糖ヌクレオチドのウリジン部分に強く相互作用しているものと考えられる。
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