研究課題/領域番号 |
07241260
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
宗像 惠 近畿大学, 理工学部・化学科, 教授 (80090942)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1995年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 水素結合 / 超分子 / 銅(II)錯体 / 三次元構造 / イオン認識 / イオン輸送 / 錯体ポリマー / チャンネル構造 |
研究概要 |
本研究では水素結合を利用して、アニオンを認識するチャンネルを有する超構造Cu(I)錯体を構築することを目的とした。配位子には配位部位としてシアノ基、水素結合部位としてピリドンを有する3-cyano-6-methyl-2(1H)-pyridinone(Hcmp)を用いた。 (1){[Cu(Hcmp)_4]X}_n(X=ClO_4、BF_4)の構築.{[Cu(Hcmp)_4]ClO_4}_n(1)のCuは4分子のHcmpのシアノ基のNが配位した4配位構造である。錯体分子間にはピリドン部分による水素結合が存在し、1分子のHcmpは隣接する2分子のHcmpと水素結合(これをAタイプとする)している。このため一つの錯体分子は隣接する8分子の錯体と水素結合でつながっている。この構造で最も注目されることは、水素結合で繋がった[Cu(Hcmp)_4]はC軸方向に沿ってチャンネルを有しており、この中にClO_4^-アニオンが取り込まれていることである。BF_4^-を取り込んだも化合物{[Cu(Hcmp)_4〕BF_4}_n(2)も1と同じ構造であった。 (2){[Cu(Hcmp)_4]X}_n(X=PF_6及びCF_3SO_3)の構築.ClO_4^-やBF_4^-よりイオンサイズの大きいPF_6^-及びCF_3SO_3^-をアニオンに用い、銅錯体{[Cu(Hcmp)_4]PF_6}_n(3)と{[Cu(Hcmp)_4]CF_3SO_3}_n(4)の合成にも成功した。錯体3と4のカチオン部分[Cu(Hcmp)_4]^+の構造は1や2とほぼ同じであるが、アニオンサイズが大きいため水素結合様式は1のそれとは異なっている。この2つの錯体で得られた水素結合様式はHead to Tail型(Bタイプ)、つまりHcmpは1:1の水素結合を生成し、錯体1分子は隣接する4分子の錯体と水素結合でつながったアダマンタン構造をとり、PF_6^-を含むチャンネルを有する。このアダマンタン構造は互いに4重に入り込んでいる。水素結合距離が短いBタイプの方がチャンネルサイズは大きいことがわかった。興味深い点は、水素結合様式を変えることでイオンサイズに適応したチャンネルサイズを変化させていることである。これらの成果はイオンを認識する超構造結晶を設計する上で重要であると考える。
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