研究概要 |
1)ルイス酸触媒による有機合成反応プロセスは排出される二次生成物の処理および装置腐食に悩まされている。その代替触媒として開発したアルミナ固体ルイス超強酸(AmLSA)を担体として,固体ルイス酸-白金二元機能触媒を調製し、ベンゼンのアルキル化反応に対する活性・性能を実験的に調査・検討した。白金担持は水素解離能付与が目的である。 2)アルミナの高温塩素化-排気処理法,CVD法によるPtCl_2担持および水素還元法でアルミナ固体ルイス酸担持白金触媒(Pt/AmLSA)を調製した。C_6H_6+C_3H_6,C_6H_6+C_3H_8の共吸着時のIRスペクトルから,前者では室温で,後者では673Kでクメンが生成することを確認した。C_3H_8からクメンが生成した事実は、Pt/AmLSAが水素解離能とルイス酸性を合わせ持つことの証左である。含浸法で調製したPt/Al_2O_3触媒上では全く起こらない。 3)半回分反応法で,同触媒を、C_6H_6に懸濁させ,H_2共存下でベンゼンのアルキル化反応を行った結果では,C_3H_6によるアルキル化反応(反応温度273-308K)は24時間以上にわたって一定速度で進行した。クメン選択率はH_2未使用時より高く80-90%であった。(CH_3)_2CHCl,C_6H_5CH_2ClおよびCH_3(CH_2)_<11>Clによるアルキル化反応も同温度範囲で6時間失活することなく進行し,モノ置換体の選択率も上昇した。 4)Pt担持とH_2共存によってAmLSAの失活が抑制された理由は,PtによるH_2の解離とHのスピルオーバー効果によると考察した。活性成分の溶解現象は観察されていない。 5)今後は更に反応例を拡げ,大気,水との接触を回避し得る流通反応法の検討を重ねることとしている。 6)なお,平行してSiQ_2,TiQ_2,HZSM-5の高温塩素処理法によるルイス酸表面の作成を試みた結果,架橋酸素が表面に残り安定したルイス酸表面の得られないことを明らかにした。
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