研究課題/領域番号 |
07242229
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
上田 渉 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 講師 (20143654)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 金属酸化物触媒 / 還元構造 / 結晶合成 / 構造解析 / アルカン部分酸化 |
研究概要 |
有機塩基処理によるヘテロポリリンモリブデン酸触媒の高還元状態安定化 有機物の介在による構造既成を利用した反応場構成をヘテロポリリンモリブデン酸触媒に展開した。三種の有機塩基、ピリジン、キノリン、a-ピコリンで処理した12-モリブドリン酸及び(NH_4)_3PMo_<12>O_<40>を加熱活性化した各触媒の還元状態安定性を検討した。ピリジン、キノリン処理触媒は低角度側で特徴的な回折を与える還元型の結晶相(斜方晶)を形成した。ピリジン処理触媒はH_2(C_5H_5N)PMo^<VI>_9Mo^V_3O_<38>の組成を有し、3電子還元状態にある。キノリン処理触媒はその純度は低く、還元型立方晶も存在している。この晶はNH_4塩を加熱活性化しても得られるが、酸化雰囲気で容易に酸化を受けて三方晶に変化する。a-ピコリン処理触媒では、非晶質相が活性化後に生じ、酸化雰囲気では不活性なNH4塩に変化した。ピリジン処理触媒で得られた還元型の結晶相だけが酸化雰囲気でも極めて安定に存在することができることから、有機物塩基の介在による特徴的な2次構造形成が以上のような還元安定化に寄与しているものと考えられる。加えて、酸化雰囲気でありながら、処理温度が高いほど高還元状態になるという、興味深い結果も得られた。 高還元型ヘテロポリリンモリブデン酸触媒によるプロパンの酸化 通常の酸型のヘテロポリ酸触媒はプロパンの酸化活性が極めて低く、プロピレンを主に与えるが、この触媒を有機塩基処理すると活性とアクリル酸生成への選択性が著しく向上する。最も効果的な有機塩基はピリジンでキノリンがこれに次ぐ。しかし、大半の有機塩基は効果を示さず、実際a-ピコリンの様にピリジンにメチル基がつくだけで活性は激減し、アクリル酸生成もほとんど見られない。NH_4塩を加熱活性化した触媒は比較的高い活性を示すが、容易に触媒が酸化を受けるため、酸生成活性は極め低かった。アクリル酸生成に活性な触媒ほど高還元状態を維持していることから、高還元によってもたらされた触媒機能がアクリル選択酸化に重要であることが判る。アクリル酸への選択率は反応温度が高いほど高く、前述の還元状態が高い温度ほど高い事実とよく対応しており興味深い。
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