研究概要 |
力学的な刺激によって,その形態や組織を可変し,結果としてそれを取り巻く環境条件に適合するという骨のリモデリング現象を実験的に正確に分析し,その結果を,骨細胞の刺激応答問題としてとらえ,かつその理論モデルを従来から知られているセルラ-オートマトンモデルを一般化することで提案した.具体的には次のような研究を実施している. 1.欠損部を有する兎脛骨が,繰返しの引張,圧縮刺激に対して,どのようにその欠損部が修復してゆくかを実験的に調べた.特にその力学的刺激の種類や大きさと,修復速度の関係を明らかにした. 2.1の実験結果から,骨のリモデリング現象には,その原因となる力学的刺激にある閾値の存在すること,またミクロ的には骨細胞の挙動はそれらを囲む細胞群と連けいして行われていることが予測された. 3.2の結論を基本に,骨のリモデリング現象からより一般的な形態形成の局所的モデルの導出できることを明らかにした.つまり目的とする形態は細胞群から成っていると考え,その任意の細胞の状態変化は時間的にはニューロモデルで,一方空間的にはセルラ-オートマトンモデルに対応していると考えた. 4.3の理論を簡単な力学的刺激(負荷)を受ける「はり」や「連続体(平板)」に適用し,具体的な局所的ルール導出の方法論の開発を数値計算的に試みた.結果として,学習と大局的最適化の方法を利用することで局所的ルールの確立できることを明らかにした.
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