研究分担者 |
伊関 洋 東京女子医科大学, 脳神経センター, 講師 (90119892)
土肥 健純 東京大学, 工学部, 教授 (40130299)
藤正 巌 埼玉大学, 大学院・政策科学研究所, 教授 (30010028)
三宅 なほみ 中京大学, 情報科学部, 教授 (00174144)
馬場 靖憲 東京大学, 人工物工学研究センター, 教授 (80238229)
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配分額 *注記 |
106,800千円 (直接経費: 106,800千円)
1997年度: 31,100千円 (直接経費: 31,100千円)
1996年度: 36,700千円 (直接経費: 36,700千円)
1995年度: 39,000千円 (直接経費: 39,000千円)
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研究概要 |
本班で最も具体的な成果が得られたのは医療への応用である。外科手術支援のために3Dで表示されたMRIやCTの患部映像を頭部に重ね合わせ低侵襲でメスを入れる方式の有用性が実証された。福祉への応用としては,障害者の言語獲得のための訓練体系を構築することを目的として音韻知覚が口形の動きに影響される現象を明確にし,視聴覚情報を活用した言語概念形成に人工現実感は有効であることを明らかにした。また,人工現実感刺激が人体へ及ぼす生理・心理影響の評価について調べ,周辺視に呈示された視運動刺激が姿勢制御を乱し動揺病を引き起こすこと,広視野ディスプレイよりも広視野HMDの方がその影響が大きいことをなど明らかにした。医療・福祉への応用を考える前に人体への影響を多角的かつ客観的に徹底して評価することが重要な課題として残された。認知面における評価としてはVRゲーム遊びが攻撃性に及ぼす影響を実験心理学の立場から定量的に解析し,VRゲームは攻撃性を高めること,特に,ゲームを視聴しているだけよりも自己がゲームに参加しているときに影響が大きいことを明らかにした。以上から,人工現実感技術の医療への応用は着実に進むことが期待されることが想像され,生理・心理および認知面への影響の評価にも研究成果が活かされることが分かった。福祉に対しても,例えば各種の感覚ディスプレイは感覚機能が衰えたり失ったりした人達への代替装置として利用され得るし,障害者が施設から離れて社会復帰するための間を埋める仮想空間による在宅リハビリテーションにも応用されると推論された。このように高齢社会に突入した現在,VRの医療・福祉への応用の意義は高いといえる。さらに,今後は社会学などに基づいた息の長い評価研究が必要であり,その上でVRのあり方を見つめ,21世紀への礎として多くのことを提言していくことが重要であるとの結論を得た。
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