研究概要 |
認知は感覚系からのbottom upな処理だけでなく、むしろ運動系も含めたtop downの行動を共なうactiveな情報統合のプロセスと考えられる。 最近,L. M. ParsonsらはCRT上に表示された左右手の判別において、手を動かすプログラムが使用されている(実際に手を動かすことは禁止されている)ことを示唆する極めて興味深いPETのデータを発表した[3].この実験は視覚系と運動系の左右脳の優位性を利用した巧妙なパラダイムを用いている.彼らのデータはPETによるものであるため,このパラダイムの期間に運動系が関与していることは分かるが,その時間的構造を見ることはできない. そこで,ヒトの認知過程における運動系の関与の時間構造を調べる試みとして,Parsonsらのパラダイムを用いてそのときのMEG(脳磁場)計測を実施した.これによりPETの空間分解能のよさとMEGの時間分解能のよさを兼ねられる可能性が生じる.すなわち,MEGからの信号源推定には一般に誤差関数に多くの極小があるため,位置情報が全くないところからの推定には問題が残される.しかし,信号源の位置がほぼ分かっているときにはかなり正確な空間・時間を推定することができる. 現在,本実験の計測結果の詳しい解析を進めているところであるが、右手(80ものの信号源位置は概略つぎのように推定された.第一次運動野に推定されることはなかった.
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