研究概要 |
本年度は,3次元グラフィックスワークステーション台,40インチ背面投影型マルチスキャンプロジェクタ2台,3次元位置計測装置FastrakおよびIsotrakを用いた,開放型VRによる協調作業環境を構築し,次の2項目について研究を実施した. 1.両手間の協調作業を利用した3次元モデラの実装と実験的評価 共有仮想環境での具体的協調作業として三次元形状のデザインを念頭に,ブロック玩具を模倣したインタフェースを持つ形状モデラを試作した.試作環境では,利用者は両手を利用した直観的な形状の構築が可能である.実際に評価実験を実施し,片手操作に対する両手操作の有効性および,両手独立操作に対する両手協調操作の有効性を定量的に評価した.また,試作環境を利用して種々の形状を作成し,両手間の協調作業が良い操作感を提供することを定性的に確認した. 2.共有仮想環境での2者間の協調作業の実験的評価 仮想環境を共有して,二人の作業者が仮想物体を受け渡す作業(受渡しタスク)および,それぞれがことなる仮想物体を把握して,それを接合させる作業(接合タスク)の2種類の作業を仮想環境内で実施し,視覚的フィードバック,干渉判定,干渉回避,操作自由度の制限が作業効率に与える影響を定量的に評価した.その結果,受渡しタスクにおいては,仮想物体の共有状態を視覚的にフィードバックすることで,作業時間が短縮でき,作業誤りを低減させることを確認した.また,干渉回避が接合タスクの操作性を改善することなどを明らかにした.
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