研究概要 |
本研究では,我々が医療用に開発しているヴァーチャル・リアリティ(仮想現実感)システムを用い,我々のこれまでの研究によって既に確立した方法、および、さらに本研究で新規に開発検討を行う方法を用いて,健常被験者および各種疾患患者における生理学的,衛星学的および心理学的な安全性を検討した。 心電図、血圧、尿中カテコラミン分泌などを指標としてで今回の研究で確認された疲労は、VR使用そのものによる疲労ではなく、高ストレス性の問診やVRの中で提示される極度に高速の動画像による疲労であると考えられ、我々のVRシステムはそれ自身では重大な身体的、精神的な影響を与えないことが確認されたと考えられる。以上より、我々が構想しているハイパーホスピタル(Hyper Hospital-超病院)において、VRシステムをヒューマンインタフェースとして用いる際、すくなくとも健康男子での利用には問題はないと考えられた。しかし問診で身体部位への疲労の投射に関して、目の周りの訴えが多かった事を併せて考えれば、HMDの改良がまだ不十分であり、今後はVRシステムの軽量化等も考慮し改良を続ける必要があり、また、比較実験では、単調で無意味な映像を流したのに対し、本実験では情動に大きく関わる質問を行っているというギャップがあり、今後の検討課題となるものと考えられた。
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