研究概要 |
平成7年度は以下の研究を行なった。 1.実時間視覚処理アルゴリズムの確立…作業対象にマークを付け,作業対象物ののモデルに基づき,フィードパック情報として実時間で使用可能な視覚情報処理のアルゴリズムを導出した.定式化において,作業対象物の画像中の「特徴」を表す量(特徴量)をフィードパックする「特徴ベース法」を用いたため,実時間処理アルゴリズムとしては特徴抽出だけを行なうことにした. 2.視覚サーボ理論の定式化…従来の特徴ベース法の定式化では,特徴量ベクトルの次数がロボットの自由度より多い(冗長な)ときには不可制御になり,特徴量の次数を減らす必要があった。これは画像が持つ情報量を捨てていたことになる.本研究においては,冗長な特徴量を有効に利用するための定式化を行ない,最適制御法,非線形制御法,オブザ-バを用いた方法などの制御法を導出した. 3.並列処理アルゴリズムの検討…実時間処理の総合的なアルゴリズムとアーキテクチャを検討,トランスピュータを用いた計算回路網を設計し,PUMA560に実装した. 4.実験による評価…未知の環境下でロボットに作業を実施させ,その効果を評価し問題点を明らかにした.非線形法は計算量の多さが問題となり,PUMA560における実装はできなかった.最適制御法は外乱に対して十分なロパスト性をもつことが示された.また,冗長な特徴量を利用することにより3次元位置の制御精度が格段に向上することが示された.さらに、オブザ-バは物体の運動を予測するのに有効であり,フィードバックのみの場合に比べて運動時の偏差の減少と運動速度の向上が確認された. 本研究では物体にマークをつけて認識部を簡略化していたが,作業対象物の背景からの切り出しや複雑な対象物の特徴量の抽出などの興味深い問題が残っている.
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