研究概要 |
本研究では,大局視と局所視と言う性質の異なるセンサ系を統合一体化し,一つの画像面(カメラ)上で実現した複合視覚センサシステムMISS(Multiple Image Sensing System)を用い,注視行動とその行動に適した観測系(大局視または局所視)を用いることで効率的に実環境の理解を行う方法の確立を目指す.この目的に対して,本年度は以下の2点に関して研究を行った。 [1]未知障害物の発見と注視行動の研究 大局視により得られた全方位情報と環境マップを比較することで未知物体を発見する方法を構築した.さらに,未知物体発見後の注視行動方法として,大局視からの情報をもとに局所視の視線制御を行う方法を構築した.そして,実験により,大局視情報の利用が局所視の視線制御に有効に利用されていることが確認できた. [2]注視対象の3次元情報の獲得と観測のための行動計画の研究 注視行動後,3角測量の原理により対象についての詳細な3次元情報が獲得できるが,一般にステレオ視では対応付け問題があり,正しい対応関係が得られるとな限らない.そこで大局視で算出した未知物体の位置情報をステレオ画像に投影し,さらにロボット移動により誤対応が最も起きにくい観測位置に移動することで,信頼性よく対応付けを行う方法を構築し,基礎的な実験を行い,方法論の有効性と課題を確認した.その結果,この問題では,より正確な視線制御を要求されるため.視線の制御においては,特に大局視の計測精度を考慮する必要があることがわかった.そこで,環境状態と大局視での計測精度の関係について,シミュレーション実験と実実験を行い、計測誤差と推定誤差の因果関係について検討を行った.来年度は,この結果を基にした観測計画の方法について研究を行う予定である.
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