研究概要 |
鎖長の異なるフッ化炭素を4本もつテトラフェニィルポルフィリン誘導体(TFPP)と置換基の位置が異なる誘導体およびMnを含む誘導体について、クロロホルム溶液から蒸留水面上に単分子膜をして展開し、表面圧一面積等温線、ブリュウスター角顕微鏡(BAM)により単分子膜中における分子の配列状態を検討し、また垂直浸漬(LB)法および水平付着法を適用して固体基板上に累積して偏光スペクトルにより膜中におけるポルフィリン環の配向を調べた。累積膜の三次非線形形光学感受率は、1.907μmの基本波長により真空容器中で、膜試料を-50°から+50°まで回転してMaker fringeから求め、膜中におけるポルフィリン分子の配列状態との関連を明らかにした。水面単分子膜中で無金属TFPPの分子占有面積は膨張領域で160〜180A^2,凝縮膜では120〜130A^2となり、ポルフィリン環は低圧ではややねているものの、高圧では垂直に近く配向していると推定される。Mn-TFPPの場合、低圧領域では220〜260A^2,高圧領域では150〜160A^2とかなり大きく、環は水平に近く配向していると考えられる。無金属TFPP誘導体の単分子膜について、0〜5mN/mで観察したBAM像は長鎖置換基の長さに著しく依存し、鎖長の短いTFPP-1では秩序ある凝縮相を形成し、最も均一な結晶性の高い膜構造が得られた。これらの単分子膜をLB法で累積した膜では、水平付着法に比較して大きな二色性を示す可視スペクトルが得られ、また無金属TFPPよりMn-TFPPの累積膜のほうが顕著な膜分子の異方性が認められた。以上の累積膜のX^<(3)>を比較した結果、相対的に均一な単分子膜を与えるTFPP-1が三次高調波発生に有利であり、単分子層内でポルフィリン環同士の相互作用の大きいMn-RFPP膜ではおおきなX^<(3)>値が得られた。また水平付着法に比較してLB法で累積した膜の法が約10倍の大きなX^<(3)>を与えた。
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