研究概要 |
本研究では,有機非線形光学材料の持つ3次非線形性を活性することを目指して,デバイス応用の観点から,光波マニピュレーション技術を追求した.3次の非線形光学効果を利用すると,「自己保持型の光スイッチ」や「双安定デバイス」,あるいは「光信号波形の時間反転デバイス」などのように,2次の非線形光学効果や他種の(電気,音響,磁気光学効果などの)の非線形な効果では得ることのできない,さまざまな,特徴ある,有用な機能を持つ光デバイスを実現できる可能性がある.有機材料を使用するに適したデバイス構造を考究し,試作,動作実験を行うことによって,3次の非線形光制御デバイスを構成する上での有機材料の重要性を明らかにするべく,研究を遂行した. 京都女子大学・松岡 賢教授より分与されたキノン系色素材料を評価の対象として,研究を進めた. 1.デバイス構成法:有機色素を用いて,部分的に非線形性を有する光導波回路を形成することを考え,具体的なデバイス構成法および期待される機能,特性を考究した. 2.デバイス作成法:材料の持つ非線形性を損なうことの無い光導波路構成および作成法について研究を進め,硝子基板非線形チャンネル光導波路の基本的な作成法を確立した. 試作・動作実験:最も基本となるものとして,直線光導波路の一部に有機薄膜を装荷し,非線形吸収および非線形屈折率変化を測定した.期待に違わずにこれまでに無い大きな非線形性が確認され,今後,本研究をさらに発展させるための基礎を固めることができた.
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