研究概要 |
有機非線形材料は柔らかで,水で材料表面が損傷を受けやすいという問題点を有する。この問題点は,非線形材料表面へのコーティングが困難であることを意味する。本研究では,ウェット加工した材料表面に生ずる水和層を除去し,insituでコーティングすることによって高性能蒸着膜を開発することを目的とした。そのため,ウェット加工したBK-7ガラス,石英ガラス,ゼロジュアなどの表面をマグネットスパッタリング装置によってアルゴンイオンビームによるドライ加工で除去する実験を行った。結果は予想通り,表面粗さを悪くすることなくドライ加工することができた。ドライ加工した表面にSiO_2,HfO_2,ZrO_2,TiO_2などをコーティングしたところ,付着性が高く、遊過率の高い膜を得ることが可能であることを明らかにした。次に,有機非線形結晶LAPのドライ加工を行った。LAPは,非常に柔らかで,水によって表面が曇りやすいため,ウェット加工後,直ちにドライ加工を行った。結論としては,ドライ加工の条件次第でクリーンな表面とする可能性があることが分った.問題点としては,ウェット加工による表面状態が余り良くない(スクラッチが多い)ため,ドライ加工後,コーティングしても高性能蒸着膜を得ることが困難である。これを解決する手段として,ウェット加工法の開発を実施中である。これが成功すれば,高性能蒸着膜を実現できる。
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