研究概要 |
形質転換型ラン藻(Synechocystis sp.PCC 6803)から,光感受性が高くなった突然変異体を多数単離した.このうち,光独立栄養条件でも,グルコース+弱光でも生育できるが,グルコース下で20μE/m_2/s以上の光に感受性を示した変異は,ORF1556の内部に同定された.このORFがコードする産物は鉄イオウクラスターやフラビン結合ドメインをもち,植物のフェレドキシン依存型グルタミン酸合成酵素と相同性が全体的に高い.このORF1556はフェレドキシン依存型グルタミン酸合成酵素の遺伝子であると結論した.この変異株の光感受性が,細胞内の還元力の過剰蓄積によるという作業仮説をたて,現在解説中である. 低温で光感受性が高くなった株も多数得られた.これらについては,desA破壊株と比較しながら,野生型DNAによる効率的な相補の条件を検討中である. psbKを欠失させた株(psbK破壊株)は,グルコース+光で成育できない表現型を示す.光感受性においてpsbKの役割を明らかにする目的で,このpsbK破壊株から再び光グルコースで生成できるようになった疑似復帰変異株を多数得て解析した.このうち,光合成が出来なくなった株では,ctpa(D1タンパク質C末端プロセシング酵素)に欠陥があることが明らかになった.また,呼吸機能の低下した変異株や,光感受性が変化した株も得られており,現在その変異部位を解析中である.
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