研究課題/領域番号 |
07251210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐々木 幸子 名古屋大学, 農学部・農学研究科, 教授 (00026519)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | アセチルCoA カルボキシラーゼ / フラボノイド / マロニルCoA / 紫外線 |
研究概要 |
脂肪酸合成の最初の反応を触媒する酵素であるacetyl-CoA carboxylase (ACCase)は動物および植物では多機能酵素であると教科書に記述されている。この定説とは異なり、植物ではE.coliと同じ多酵素複合体があることを私は1993年に証明した。すなわち、脂肪酸合成の場である色素体に多酵素複合体が存在し、細胞質ゾルに多機能酵素が存在することを示した。その結果、色素体の酵素は新規脂肪酸の合成に関与するが、細胞質ゾルの酵素の役割が新たな疑問となった。ACCaseにより作られるmalonyl-CoAはフラボノイドの前駆体となるので、私は細胞質ゾルACCaseにはフラボノイド合成用前駆体を供給する役目があると推測した。この推論を証明することを本研究の目的とした。 エンドウ実生の第一葉では、発芽後7日目に、2種類のACCase量がほぼ一定量となった。一定量になった後の9日目実生に24時間UVBを照射し、その後第一葉のACCase量の変化を追跡したところ、細胞質ゾルACCase量が主に増加した。色素体ACCaseの誘導量は少なかった。これらの事実から、細胞質ゾルのACCaseがフラボノイド合成の前駆体のmalonyl-CoAを供給していると結論した。フラボノイドの機能はUVを吸収して細胞をその被害から護ることにある。植物を光合成細菌が寄生して進化した真核生物と考えると、色素体ACCaseは脂肪酸合成を調節し、細胞質ゾルACCaseはフラボノイドを作り紫外線を吸収させその被害から光合成器官を護り、植物は2種類のACCaseにうまく役割を分担させ、したたかに生きていると考えられる。
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