研究概要 |
ホウレンソウNiR cDNAを富化したトランスジェニック植物として、再分化当代(T1植物)および自殖第1代および第2代(T2およびT3植物)をそれぞれ107,43および9系統得た。これらが外来遺伝子を持つことはPCR法およびサザンハイブリ分析により確認した。また、ホウレンソウ由来のNiRタンパク質を発現していることは2次元泳動分離したタンパク質のイムノブロット分析により確認した。これまでに、野性株に比べ最大1.9倍高いNO2同化能力を持つトランスジェニッククローンが得られた。これらトランスジェニッククローンにおいてNIR, NiR酵素活性が野性株のそれの1.4-1.5倍を示すものが認められた。 アンチセンスGScDNA断片(660bp)の導入により、導入後2時間で植物葉のGS酵素活性およびGSポリペプチド量は有意に減少した。また、遺伝子導入処理後、植物をNO2暴露処理すると、GSポリペプチドと酵素活性の減少はさらに強まり、かつ著しい可視障害が生じた。キャピラリー電気泳動法による硝酸、亜硝酸およびアンモニウムイオンの分析の結果、アンチセンスGS cDNAを導入した植物をNO2暴露処理すると、顕著な亜硝酸イオンの蓄積が生じることが分かった。従って、上記の可視障害は亜硝酸イオンの蓄積に起因すると推定された。また、NO_2暴露処理したシロイヌナズナ植物葉からタンパク質を抽出し、2次元電気泳動法により解析した結果、分子量31kDa等電点5.8-6.2のタンパク質がNO_2暴露処理で誘導されることが分かった。
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