研究課題/領域番号 |
07257211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
稲葉 カヨ 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00115792)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1995年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 樹状細胞 / 細胞分化 / T細胞活性化 / 共刺激分子 |
研究概要 |
骨髄細胞の培養にGM-CSFを添加することにより、前駆細胞から樹状細胞への分化増殖が誘導されることが知られている。この実験系に免疫応答を抑制することが知られているTGF-β1を添加してその効果を検討した。その結果、細胞増殖は増強されたが、それは主に顆粒球であり、培養開始後6日目でMHCクラスII分子の発現を指標とした樹状細胞の比率は大きく減少し、しかもそのその発現程度も低いことが示された。また、TGF-β1を洗い去りGM-CSFのみで培養しても、MHCクラスII分子の発現増強やCD86やCD54の発現を指標とした樹状細胞の成熟は認められなかった。しかし、6日目までに増殖してきた細胞中よりFcレセプター陽性の付着性細胞を除去すると、樹状細胞の成熟が認められるようになった。さらに、ここにTHFαを添加すると樹状細胞の成熟は加速された。この結果は、TGF-β1は前駆細胞から樹状細胞への分化決定を阻害するものでないことが明らかである。また、この時同時にTGF-b1を共存させてもTNFaの効果を減弱できなかったことから、TGF-β1は直接樹状細胞の成熟を抑制する作用はないと判断された。一方、Fcレセプター陽性細胞が混在したままの細胞集団でもTNFαの作用は検出されたことから、TNFαは未熟な樹状細胞の直接作用してその成熟を促すと考えられる。樹状細胞の成熟度の差は異系白血球混合培養におけるT細胞活性化能を指標にした場合にも同様に認められた。TGF-β1のこのような作用は骨髄細胞の培養開始直後から添加されているときにのみ認められることも明かである。以上の結果より、TGF-β1による樹状細胞の分化抑制作用は、自家蛍光の強い大型の細胞でありクラスII陰性、FcR陽性で付着性を示す細胞を介するものであり、これらの性状からマクロファージであると推測される。
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