研究概要 |
(1)病原性T細胞クローンが認識する自己ペプチドの解析.クラスII分子結合ペプチドシークエンスおよび合成ペプチド結合競合阻害実験の結果から,変異APC株および野性APC株のクラスII分子結合ペプチドモチーフは,p6位で野性株はTyr,Phc,Trp,Gly,His,Ile,変異株ではTry,Phe,Gly,Arg,Glu,Asnが許容されることがわかった。p6位は変異APC株のクラスII分子アミノ酸変異が存在する場所であり,結合モチーフの相違はそのためであると考えられる.この結果から,病原性自己ペプチドのp6位はTrp,His,Ileのいずれかであると推測される. (2)ペプチドアナログによる自己反応性の抑制.病原性T細胞クローンが認識するクラスII分子Aβz/Aαdに結合するL-plastin (588-605)ペプチドをパルスしたAPC株は病原性T細胞クローンに対する刺激能が減弱することがわかった.これはAPCクラスII分子に結合している病原自己ペプチドがL-plastinペプチドにより置換されたためであると考えられる. (3)APC株による自己反応性の抑制.B細胞リンフォーマAPC株と共培養されたT細胞クローンはT細胞クローンは,その後の脾臓細胞の刺激に対して無応答になることがわかった.これが,APC上の抗原密度によるものか,他の異なった表面分子の影響によるものかを解析中である. (4)病原性TCRレセプターの解析.自己免疫疾患を発症したB/WF1マウスTCRVb4のCDR3 100位に陰性荷電を有するアミノ酸が高頻度に存在しているが,発症前にはこのような特徴は認められなかった.疾患発症に関与するTCRレパトリ-の変化を反映していると推測される.
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