研究課題/領域番号 |
07258202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡野 栄之 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60160694)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1995年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / P-エレメント / グリア細胞 / ホメオドメイン蛋白質 / repo / Electroretinogram / トランスジュニックフライ / パイオニア・ニューロン |
研究概要 |
本研究では、ショウジョウバエのP-エレメントの挿入変異法により見い出されたグリア細胞特異的なホメオドメイン蛋白質をコードするrepo(reversed polarity)遺伝子の機能欠損型変遺体や機能亢進型変異体を用いることにより、グリア細胞の分化決定機構を明らかにすることを目的とする。repo変異は、Electroretinogram(ERG)の極性が逆転していることを特徴とする変異体として同定され、光受容細胞の光応答を細胞内記録法で観察したところ、光応答の極性と振幅が正常であったことよりrepo変異体の異常が光受容細胞以外にあり、即ちグリア細胞による電気的絶縁機能が欠落しているためと考えられた。P-エレメントを指標としてrepo遺伝子座のクローニングを行い、転写単位の同定と構造解析よりrepo遺伝子産物がホメオドメイン蛋白質であることが明かとなった。胚発生期において、repo遺伝子は腹部上皮領域の最外側かつ最前列に位置する単一のグリオブラスト(未分化な神経上皮から産生されるグリア系の細胞系譜を産み出す最初の前駆細胞)において発現を開始する。グリオブラストは分裂と移動を繰り返し、長軸索路に沿って存在するlongitudinalグリア細胞群を形成する。repo遺伝子はmidlineグリア(mesectoderm由来で中枢神経系の他のグリア細胞と起源を異にする)以外のほとんど全てのグリア細胞で発現する。repoの機能欠損型変遺体においては未熟なグリア系の前駆細胞は形成されており、repo遺伝子産物がグリア細胞の終分化に必要と考えられた。また酵母の転写因子であるGal4の認識配列(UAS)をrepo遺伝子の上流に有したトランスジェニックフライを作成し、repo遺伝子産物を中枢神経系内に異所的に発現させることにより、特定のパイオニア・ニューロンの軸索走行異常が起こることを観察した。この表現型の原因として、異所的なグリア様細胞が出現することを複数のグリア細胞マーカーにより確認し、また特定の神経芽細胞における異所的なrepo遺伝子産物の発現による神経細胞特異的マーカーの消失を見いだした。
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