研究課題/領域番号 |
07258209
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
影山 龍一郎 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80224369)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1995年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | ヘリックス・ループ・ヘリックス / 神経分化 / 無脳症 / 神経管閉鎖不全 / 網膜 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
哺乳動物の神経分化機構を明らかにする目的で、ヘリックス・ループ・ヘリックス(HLH)型転写因子群を同定し、神経分化における役割を解析してきた。我々は、今までに、(1)HLH型因子HES-1は、同じくHLH型の正の神経分化因子Mash-1に対してドミナント・ネガティブな作用を示し、神経分化を抑制すること、および(2)HLH型の正の神経分化因子の候補として新たにMATH因子群を同定したことを報告してきた。今回、さらにHES-1ノックアウトマウスの解析およびMATHについての解析を行ったので以下に報告する。 HES-1ノックアウトマウスでは、胎生9.5日目頃から頭部神経管閉鎖不全がおこり、open brainになった。その後、神経細胞死がおこり、やがて無脳症に至った。HES-1ノックアウトマウスでは、Mash-1が正常よりも早く、しかも高レベルに発現しており、神経分化が早く進行していた。以上の結果から、HES-1欠損によりMash-1活性が強まり神経分化が正常よりも早く進行すること、おそらくそのために頭部神経管閉鎖不全がおこることが示唆された。同様に、網膜においても神経分化が早く進行しており、正常な層構造が維持できずに、異常なロゼット構造を形成した。従って、脳や網膜の形態形成には、HES-1のような神経分化抑制因子が非常に重要な役割を担っていることが示された。 また、MATHの発現分布をしらべたところ、MATH-1は背側部に、MATH-2は大脳皮質部に強く発現しており、これらの領域の分化に密接に関与していることが示唆された。さらに、MATH-1は転写活性化因子として機能するが、その活性はHES-1によって完全に抑制されることが明らかになった。従って、哺乳動物の神経発生には、Mash-1、HES-1、MATHのようなHLH型因子群がバランスよく機能することが重要であるといえる。
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