研究課題/領域番号 |
07258211
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
垣塚 彰 京都大学, 医学研究科, 助教授 (80204329)
|
研究期間 (年度) |
1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
1995年度: 3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
|
キーワード | APL / PML / RAR / ドミナント・ネガティブ / 皮フ成型 |
研究概要 |
本研究は、急性前骨髄球性白血病(APL)細胞に特異的に認められる15番と17番染色体間の転座部位に存在しているPML遺伝子及びレチノイン酸受容体(RAR)遺伝子の機能を解析することによって、APLの発症及びRAによる寛解の分子機構を解明することを目的としている。 APL細胞のRAによる分化機構をさらに理解するためには、RAの生体における生理作用を明らかにする必要がある。RAは多様な薬理作用を持っているが、その生理作用に関しては、発生生物学上の重要な問題であるにもかかわらず、適当な解析方法が無いために未解決な問題であった。RARは、細胞内受容体スーパーファミリーに属し甲状腺ホルモン受容体(TR)と最も近縁な関係にある。一方、常染色体優性遺伝を示す甲状腺ホルモン不応症から、ドミナント・ネガティブに働くと考えられる変異TRが同定されている。そこで我々は、甲状腺ホルモン不応症をおこすアミノ酸変異と相同な変異を構造的に近縁なRARに導入し変異RARを作出した。この変異受容体は、内在性RARの機能を効果的に抑制するドミナント・ネガティブな作用を有しており、組織特異的に発現させることによって発生過程におけるRAの生理作用を組織ごとに解析できると考えられた。我々は、致死性を回避しうること、さらに表現型が観察しやすいことより、皮膚を標的臓器としたトランスジェニック・マウスを作成した。得られたマウスの皮膚には皺がなく、微視的には角化細胞及び有棘細胞が激減しており、いずれも未成熟な皮膚の特徴を示していた。以上の結果は、正常な皮膚の発生にRAの作用が不可欠であることを実験的に初めて示したものである。今後、本方法を他の組織に適応することにより、組織ごとRAの生理活性を明らかにすることが可能となった。
|