研究課題/領域番号 |
07259214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
梅沢 一夫 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (70114402)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1995年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | がん遺伝子 / コノフィリン / レクチン / 浸潤 / 子宮体がん / H抗原 / メラノーマ |
研究概要 |
本研究ではRas活性阻害剤による糖鎖構造の修飾とがん細胞浸潤の抑制を調べた。 K-rasを強力に発現するK-ras-NRK細胞の形態正常化を指標にして抗Ras物質のスクリーニングを行い、熱帯植物のErvatamia microphylla葉のクロロホルム抽出物から新しいビンカアルカロイドのコノフィリンを単離した。さらに、熱帯植物Aglaia odorataの葉から新規物質アグライアスタチンを単離した。アグライアスタチンは蛋白合成阻害作用があり、turnoverの速いRasの細胞内レベルを低下させて抗Ras作用を示すことがわかったが、コノフィリンの作用機構はわかっていない。アグライアスタチンは細胞増殖抑制効果が強いので、浸潤抑制の実験にはコノフィリンを用いた。 コノフィリンはマウスメラノーマB16/F10細胞の形態にflat conversionを誘導し、マトリゲルへの浸潤を抑制した。フィブロネクチン発現を活性化し、酸性条件化で発現するゼラチナーゼ活性を低下させた。さらに、レクチン結合アッセイにおいて、コノフィリン処理により、ガラクトース結合シアル酸に結合するMAAの結合が95KD、58KDで低下した。これらの糖蛋白は高転移性B16/F10でB16細胞より強くMAA結合がみられるので浸潤能に関与する可能性がある。子宮体がん由来培養細胞のH型糖鎖を強く発現しているSNG-Wは高い転移能を示す。そこでSNG-Wの浸潤に対するコノフィリンの効果を調べた。コノフィリンは増殖を抑制しない範囲で濃度依存的に浸潤を抑制することがわかった。さらに、コノフィリン処理により細胞の一部の糖蛋白とPNAレクチンの結合に増加が見られた。そこでコノフィリンによりPNAレクチンが認識するO-グリコシド型糖鎖Gal β1→3 GalNAc-Ser/Thrが増加していることが示唆された。
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