スフィンゴ糖脂質代謝関連酵素阻害剤用いて、スフィンゴ糖脂質ネットワーク(スフィンゴシン⇔セミラド⇔糖脂質)の白血病細胞アポトーシス誘導における意義の検討を試みた。ゴルジ装置においてセラミドに糖鎖を付加することにより産生するステップをブレフェルディンAは阻害し細胞内のセラミドを増加させると考えられ、フモニシンBはディヒドロスフィンゴシンにアシル化を行いセラミドを産生するステップを阻害する。これらの細胞内代謝阻害剤を使用しHL-60細胞分化・アポトーシス誘導シグナルへのスフィンゴ糖脂質の役割を知るために、セラミド・スフィンゴシン添加によるfos、jun遺伝子産物より構成されるAP-1核内転写因子のシグナル変化を検討した。放射性^<14>Cでラベルしたセラミドはスフィンゴシンに変換されず、またフモニシンBによりスフィンガニンおよびスフィゴシンからセラミドへの合成経路を阻害したときスフィゴシンによるc-jun/AP-1の活性増強は阻害されなかった。また、セラミドによるjunメッセイジの増強はプロテインカイネースCの阻害剤であるスタウロウポリンにて抑制されたがプロテインカイネースAの阻害剤であるH89では抑制されない、逆にスフィンゴシンによるjunメッセイジの増強はプロテインカイネースCの阻害剤であるスタウロウポリンにて変化ないがプロテインカイネースAの阻害剤であるH89では抑制された。この結果は、セラミド・スフィンゴシンともに互いに独立した生理作用としてc-jun/AP-1の活性を増強し、その増強するためのシグナル伝達系が各々異なることが判明した。
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