研究課題/領域番号 |
07262101
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡野 栄之 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60160694)
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研究分担者 |
内山 英穂 横浜市立大学, 文理学部, 助手 (10221110)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1995年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | ショウジョウバエ / 背腹軸 / decapentaplegic(dpp) / BMP / ドミナントネガティブ / トランスジェニック・フライ / thick veins (tkv) / アフリカツメガエル |
研究概要 |
本研究はショジョウバエ胚の背腹軸形成、成虫原基のパターン形成及びツメガエル胚の軸形成における共通の分子機構を明らかにするために、decapentaplegic(dpp)遺伝子産物の受容体の単離、及びドミナントネガティブ型のマウスのタイプ1の膜貫通型セリン/スレオニン・キナーゼ(mTFR11,Brk-1)によるBMP受容体とDpp受容体の機能的互換性の検討を行った。Dpp受容体を単離するため、キナーゼ領域中の最も保存性の高い領域のアミノ酸配列を基にRT-PCR法によってショウジョウバエの膜貫通型セリン/スレオニン・キナーゼ群の単離を行った。このうち25Dにマップされたもの(DTFR)はマウスのタイプ1の膜貫通型セリン/スレオニン・キナーゼ(mTFR11,Brk-1)と最も高い相同性を持ち(キナーゼ領域中で63%)、特に細胞外領域におけるCys残基の配列の保存性が高いことからmTFR11に対応する分子、即ちDpp受容体であることが示唆された。in situ hybridization法によりmRNAの組織局在を調べると、胚発生初期には全体に渡って広汎な発現となった。また胚発生の嚢胚形成期から中胚葉での高い発現がみられ、発生後期には中腸の前部、後部原基で強い発現がみられ、腸管形成においてホメオティック遺伝子を制御するdpp遺伝子との関連が示唆された。BMP受容体とDpp受容体が種を越えて機能的互換性を発揮しうるかについて検討するために、ドミナントネガティブ型mTFR11(細胞内キナーゼ領域を欠失したもの)を酵母の転写因子であるGal4の認識配列(UAS)の下流に連結したものを導入したトランスジェニック・フライを作成して、Gal4をレポーター遺伝子とした種々のエンハンサー・トラップ系統と交配することにより、成虫原基に細胞型特異的に強制発現させ、dpp情報伝達経路を特異的に遮断してそれに伴う形態形成の変化を観察した。その結果翅脈において、longitudinal vein 2(L2)に沿ったectopic veinの出現、L3とL4の間のcross veinの欠失といったDpp受容体の機能欠損型変異体の一つであるsaxphone(sax)と類似した表現型を示した。更にDTFR遺伝子の機能欠損型変異でもあるthick veins(tkv)を付加する事により、翅脈でみられた表現型が増強し、加えて脚の末端部においてtarsal clawの欠損やtarsal segmentの著しい短縮、複眼の縮小などの表現型が現れた。完全長のDTFRによって、ドミナントネガティブ型mTFR11によって生じるアフリカツメガエル初期胚の腹側を背側化させる変異を回復し、ドミナントネガティブ型DTFRによって二次軸の形成が起きることを明らかにした。以上のことからdppとBMPで、リガンド-受容体の互換性がショウジョウバエ、カエル、哺乳動物で保存されていることが示された。
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