研究概要 |
正常機能を保持しているヒト肝臓由来細胞を用い,亜急性毒性相当期間までの負荷における環境水の人体毒性を総合的かつ簡便に評価する方法の確立を目的として,水道原水としても用いられている多摩川河川水を例として検討を行った.4-6時間単位で1週間採取を行った河川水サンプルを短期増殖試験で評価すると,その毒性は時間単位で大幅に変動することが初めて明らかとなった.これは,水道水質管理のためには,リアルタイムで毒性を検出する手法の確立の必要性を示唆している.長期間暴露においては,細胞死に至る前の細胞機能の微少な変化を捉えることにより,短期間で評価できることが示された.基準毒物との比較から決定された河川水の毒性は,ヒトが生涯にわたって健康障害を生じないレベルとして決定された各種基準値より1-2桁高いものであったことから,本研究の指標を用いて現状の上水処理プロセスの評価を実施する必要性が指摘された.
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