研究課題/領域番号 |
07263244
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田辺 信介 愛媛大学, 農学部, 助教授 (60116952)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | コプラナPCB / ダイオキシン / 人体汚染 / 野生動物 / 海棲哺乳動物 / 薬物代謝酵素誘導 |
研究概要 |
本研究では、人体および陸棲・海棲の高等動物(鳥類や哺乳類)を対象にコプラナPCBの化学分析を行ない、この種の物質による汚染の実態把握、蓄積特性の解明や影響評価などについて検討した。具体的には、世界各地から集めた動物(正常・異常個体を含む)および日本で入手したヒトの脂肪組織などを材料にしてコプラナPCBの、1)汚染の現状、2)生物種間における蓄積の相違、3)TEQ(ダイオキシン当量の毒性換算値)による毒性影響評価、4)薬物代謝酵素誘導の検証などを試み、以下の成果を得た。 1)まず、コプラナPCBおよびダイオキシン類の残留濃度とダイオキシン換算の毒性値(TEQ)を求めたところ、いずれの動物においてもダイオキシン類に比べコプラナPCBの方が優位な残留を示し、生態系に対するコプラナPCBのインパクトはダイオキシンやフランを上回ることが示唆された。一般人の場合もPCDDやPCDFに比べコプラナPCBの残留が顕著であったが、油症患者はPCDFのTEQ値が大半を占めた。 2)コプラナPCBは陸上動物だけでなく外洋性のイルカや鯨類からも検出され、その汚染は地球規模で広がっていることがわかった。また海棲哺乳動物の残留濃度は陸上哺乳動物を上回り、コプラナPCBによる海洋汚染はかなり深刻化していることが窺われた。 3)PCB異性体間のTEQ値を比べたところ、海棲哺乳類はモノオルソコプラナPCBの毒性学的インパクトが大きいのに対し、陸上動物の場合はノンオルソコプラナPCBも相当の影響を及ぼしていることが示唆された。 4)イルカやオットセイなどの海棲哺乳動物では、PCBの残留濃度と薬物代謝酵素活性との間で有意な正の相関関係が認められた。この結果は、野生動物の薬物代謝酵素が現状のPCB汚染レベルで誘導されていることを示唆しており、海棲哺乳動物の大量変死事件など高等動物の異常にコプラナPCBが関与していることを暗示している。
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