研究課題/領域番号 |
07264102
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
永田 豊 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (70084499)
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研究分担者 |
山内 理充 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (30278303)
本多 虔夫 横浜市立市民病院, 神経内科, 部長、院長
藤田 公和 藤田保健衛生大学, 医学部, 客員講師 (50149506)
安藤 正人 愛知学泉大学, 解剖生理, 助教授 (40097720)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症(ALS) / モデル運動(Mndマウス) / 脊髄 / トランスグルタミナーゼ / 運動ニューロン |
研究概要 |
昨年度われわれは筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者より死後摘出・凍結保存した脊髄標本のトランスグルタミナーゼ(TG)活性をH^3-プトレスチンがカゼイン・タンパク内へ組み込まれる放射活性量より測定した結果、非ALS脊髄の値と比べて1/2以下の低値が示された。また、ALS病期の中間で患者より採取した脳脊髄液中のTG活性値も非ALS患者の値と比べて、有意に減少していた。このような測定成績は、ALSの臨床症状の重症度に比例して、患者の脊髄内ニューロンの変性・脱落に対応して、組織中TG活性の低下がみられることを示唆している。 ALSモデル脊髄標本を作製する試みの1つとして、成熟ラットを麻酔後、背部皮膚を切開して露出した頚・胸部脊髄を露出して後脊髄動脈の片側分枝を電気メスで焼灼・閉塞して、片側脊髄の変性・壊死を生じさせた。障害側脊髄内TG活性値は非障害側の値と比べて、術後1〜3日で著明(約1.6倍)に増加したが、1週間後には元のレベルに戻り、30日後には約1/2にまで低下した。このことは、虚血による脊髄ニューロンの変性過程で、その組織内TG活性が平行して推移することが考えられた。 体染色体8に変異が局在する遺伝的ALSモデル動物のMndマウスは、生後5ヶ月位までは正常な歩行が認められるが次第に後肢の麻痺が進行して、生後8〜9ヶ月には四肢の運動麻痺を来して歩行および摂食困難となり生後10ヶ月以降には死亡する。組織化学的検索で、Mndマウス脊髄内灰白質ニューロンは運動麻痺症状の進行に伴って変性・脱落してまばらになるのが認められた。この動物脊髄内TG活性は、生後3〜5ヶ月と次第に増加するが、7〜9ヶ月目ではかえって減少する傾向が認められ、この変化は特に下部脊髄で著明であった。 これらのモデル動物を用いた実験成績から、主としてニューロン細胞体内に局在するTG活性は、障害が与えられた初期の脊髄組織内で一過性に増大するが、長時間持続した傷害によってニューロンの変性・脱落が進行するに従って、その酵素活性の低下として認められることが示された。従って、ALS患者脊髄内でもモデル動物と同様なTG活性値の変動を示して、死後の患者脊髄内では極めて低い値が認められたのであろう。
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