研究課題/領域番号 |
07264231
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
松原 和夫 島根医科大学, 医学部, 助教授 (20127533)
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研究分担者 |
池淵 淳 鳥取大学, 医学部, 助手 (30150361)
井津 智子 島根医科大学, 医学部, 助手 (80263515)
小林 裕太 島根医科大学, 医学部, 助教授 (40162028)
木村 恒二郎 島根医科大学, 医学部, 教授 (30153191)
小林 祥泰 島根医科大学, 医学部, 教授 (00118811)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | パーキンソン氏病 / β-カルボリン / モデル / MPP^+ / ブレインマイクロダイアリス |
研究概要 |
1.β-carbolineによるパーキンソニズムモデルの検討:β-Carboliniumのpro-toxinであるβ-carboline(norharman,NH)をC57Blackマウスの腹腔内に1日2回0.5mmol(84mg)/kg・7日間投与した。最終投与より2日間休薬後、自発運動量・pole testによる運動能を測定した。更に1日後に断頭し、脳各部位のドパミン(DA)、5-HTおよびノルアドレナリン(NE)含量を測定した。自発運動量はNH投与によりmovement及びrearing共に約35%低下した。Pole testによるpole上端からの床までの所要時間は、1.5倍に増加した。脳内アミンの変化は中脳で著明であった。即ち、DA含量の低下は、線条体より中脳で強く認められ、それぞれコントロールの75及び40%であった。DOPAC及びHVAも中脳においてはコントロールの約50-55%まで低下したが、線条体ではHVA含量はコントロールの70%でありDOPACにおいては低下傾向が認められたにすぎなかった。他の部位(視床下部、皮質前部、皮質後部)におけるDA及びDOPACの著明な変化は認められなかったが、HVAについては視床下部及び皮質前部で20-30%の低下傾向が観察された。腹腔内投与後、マイクロダアリシス法によって脳内におけるβ-carboliniumを検出した。従って、β-carbolineによる神経化学的・行動変化は、β-carboliniumへの活性化経路を経て起こるものと推測され、β-carbolineのドパミン神経毒性を証明しパーキンソンニズムモデルとなり得るものと考えられた。 2.β-Carbolinium cationのmicrodialysis法による検討:神経毒の経時的な毒性をdialysis法によって観察することは、神経毒の毒性評価とその薬理学的解析が可能となる。しかし、ドパミンの放出は直接細胞障害を反映していない。そこで、細胞外液中に漏出するlactateをmitochondria毒性の指標として検討した。β-Carboliniumである2,9-Me2NH^+とMPP^+を60分間線条体に灌流し、それらのlactateを指標とした毒性とMAO ihibitorの影響について検討した。0.1mMの2,9-Me2NH^+及びMPP^+で細胞外液のlactateはそれぞれ灌流前の250及び300%となり、200%レベルが4時間後も観察された。1mMでは両者によるlactateは、それぞれ400及び500%となり300%レベルが同様に4時間後も観察された。これは、両神経毒が細胞内に取り込まれた後、mitochondria呼吸鎖を長時間抑制した結果と思われた。一方、10μMのdeprenylはこの両神経毒によるlactateの上昇を効果的に抑制した(0.1mMの両神経毒によるlactateの上昇はほぼ100%抑制された)が、20μMのpargylineの抑制効果は小さかった。しかし、deprenylが神経毒の毒性発現機構のどこに抑制的に働いているかは今のところ明らかでなく、現在検討を進めている。
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