研究概要 |
胎生18日齢のラット大脳皮質神経細胞の初代培養を用いた.細胞密度は24-well培養皿に低密度(0.8×105/cm2)で播種した.これに細胞播種と同時にウシ脳ホモジェネート調製液を加え,4日間培養後にMTTキットにて生存細胞を定量し,コントロールと比較した.ウシ脳ホモジェネートの調製はPBSにプロテアーゼ阻害剤を加えたものを用い,ブレンダーで懸濁し,10万g遠心上清を得た.この上清の30-50%硫安画分沈殿を50mMTris-HCl pH7.6に溶解し,脱塩後に50mMTris-HCl pH7.6で平衡化したDEAE sephacel に吸着させ,0-0.12M NaClの分画を抽出した.この抽出液を硫安で濃縮した後,ケ-ル濾過 Sephacryl S-100HR(φ2.5×100cm)にて分取したサンプルから分子量別に4つの生物活性ピーク(A,B,C,D)を得た.40K付近の peak A を集め,脱塩後に10mMリン酸バッファーにて平衡化したResouce Q に吸着させ,0-0.3M NaClの linea gradient にて抽出した.Resouce Qの0-0.3M NaCl linea gradient にて活性が3peakに分かれた.各フラクションの抗NSE抗体(Enzo Biochem)と抗CPB-1(=AnnexinV)抗体(Kowa)によるWestern blottingの結果,NSE(neuron specific enorase)やCPB-1による活性peak以外に 0.08-0.1M NaCl付近に新しい活性中心を発見した.硫安を加え1.2M硫安サンプルとし,疎水性カラムphenyl superoseに吸着させ,1.2-OM硫安の linear gradient で抽出し,ゲル濾過 superdex 75(φ10×300mm)を行った.新しい活性は phenyl superose にて0.7-0.5M硫安分画みられ,次の superdex 75 のゲル濾過にて約30K付近に来ることが判った.SDS-PAGEの銀染色にて候補の活性物質は約22Kと約29Kと考えられた.現在,ウシ脳約4KgのLarge scaleで精製し,蛋白の同定中である.
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