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超好熱菌を研究対象とした真核細胞の起源に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 07265216
研究種目

重点領域研究

配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

今中 忠行  大阪大学, 工学部, 教授 (30029219)

研究期間 (年度) 1995
研究課題ステータス 完了 (1995年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
キーワード始原菌 / 超好熱菌 / 分子進化 / ゲノム構造 / DNA合成酵素 / アミノアシルTRNA合成酵素 / Pyrococcus
研究概要

超好熱菌はその生育環境の特殊性から原始生命体に最も近い生物と考えられている。我々は超好熱菌Pyrococcus属KOD1株のゲノム解析を通して、原始生命体のゲノム構造の特徴を明らかにするとともに、本菌が作り出す蛋白質・酵素の性質を調べることで、触媒機構の原始メカニズムを解明しようとした。以下に本年度に得られた知見を紹介する。
(1)KOD1株のゲノム構造
KOD1株の染色体物理地図を8塩基認識の制限酵素を用いて作成したところ、約2,036kbpの大きさを有する一本の環状DNAであることが示された。これは大腸菌のゲノムサイズ(4,700kbp)の半分以下であり、遺伝情報の利用効率が極めて高いことを示している。実際、DNAポリメラーゼの遺伝子には制限酵素の遺伝子がイントロンの形で挿入されていた。さらに詳細なゲノム構造を明らかにするため、クローン化されている遺伝子をもとに簡単な遺伝子地図を作ったところ、遺伝子の複製に関与するDNAポリメラーゼ、転写因子TATA binding pr otein(TBP)、Ribose phosphate py rophosphokinase(RPPK)、翻訳開始に必要な16SrRNA遺伝子、蛋白質の高次構造をほぐすシャペロニン蛋白質(熱ショック蛋白質)が、染色体上の限られた領域に集中して存在していることが明らかとなった。この結果は原始生命体ではセントラルドグマに関与する重要な遺伝子群が、染色体上の限られた領域に局在化していたことを示唆している。
(2)KOD1株の生産する酵素の性質
超好熱菌が作り出す酵素はいずれも耐熱性が高く、これまでに産業上で数多く応用されてきた。また、触媒機構に高等真核生物の特徴を有することから、蛋白質の構造と機能の視点から生物進化を研究するには、最適な対象である。特に生物種を超えて存在する酵素を研究することで、超好熱菌の分子進化における立場を明らかにできると期待している。そこで複製、転写、翻訳といった生命維持に重要なセントラルドグマの流れに含まれる酵素について検討した。
KOD1株のDNA合成酵素は、DNAの伸長速度が既知の耐熱性酵素の中で最も速く、また修正機能も併せ持つことから短時間にPCR反応を行うことができた(この酵素はKODポリメラーゼとして東洋紡から発売された)。また、成熟化が蛋白質レベルのスプラヂシングでなされDNAの再編に関与する酵素であることが示唆された。
転写機構の特徴を調べるため、プロモーター認識の中心的役割を果たすTATA binding pr otein(TBP)に注目し、その遺伝子のクローニング及び蛋白質の精製を行なった。KOD1のTBPのアミノ酸配列は真核生物のTBPと相同性が高く、特徴的なTATA配列結合活性を示した。
翻訳に関係する酵素としてアスパラギン酸tRNA合成酵素(AspRS)に注目し、その遺伝子構造及び酵素特性の解明を試みた。KOD1株からAspRS遺伝子をPCR法によりクローン化し、遺伝子構造を既知のAspRSの配列と比較したところ、真正細菌と高等真核生物のキメラであることが解った。KOD1のAspRSを大腸菌で発現し、酵素を精製してその性質を調べたところ、90度での活性の半減期は約14時間で真核生物、真正細菌の両方のtRNAに対してアミノアシル化活性を示した。KOD1株のAspRSは現存する生物のAspRSのプロトタイプとも考えられる。

報告書

(1件)
  • 1995 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Imanaka,T., S.Lee, M.Takagi,and S.Fujiwara: "Aspartyl-tRNA synthetase of hyperthermoplilic arcnaeon Pyrococcus sp. KOD1 has a chimerical structure of eukaryotic and bacterial enzymes." Gene. 164. 153-156 (1995)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] Roshid,N., M.Morikawa,and T.Imanaka: "An abuormally acidic, TATA-bindingprotein from a hyperthermophilic archalon." Gene. 166. 139-143 (1995)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] Fujiwara,S., S.Okuyama,and T.Imanaka: "The world of archaea; genome analysis, evolution and thermostable enzymes." Gene. (印刷中). (1996)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 藤原伸介,今中忠行: "広がる超好熱菌の世界" バイオサイエンスとインダストリー. 53(3). 32-36 (1995)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書
  • [文献書誌] 藤原伸介,今中忠行: "地球をまもる小さな生き物たち 環境微生物とバイオレメディエーション" 技報堂出版, 238 (1995)

    • 関連する報告書
      1995 実績報告書

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公開日: 1995-04-01   更新日: 2016-04-21  

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