研究概要 |
特発性心筋症は、現在心臓移植が唯一の治療法であり、その原因究明は非常に重要である。ヒトの特発性心筋症のモデルと考えられている心筋症ハムスターは、常染色体性劣性遺伝形式の単一遺伝子によって、100%の浸透率をもって発症する。薬剤評価などにも多用されており、心筋症の病態解明に中心的な役割を果たしてきた。しかし、単一遺伝子座で次世代に伝わるにも関わらず、その遺伝学的解析が非常に遅れていることは、DNAマーカーが無いためである。我々の開発したRLGS法は、大腸菌、酵母、ショウジョウバエ、植物をはじめ全ての生物種に適用でき、そのゲノム全体を一度にスキャニングする画期的な方法であり、その有用性はマウスの1cMマップを約半年で完成させ、実証済みである(Y.Hayashizaki et al., Genetics, 138, 1207-1238, 1994)。平成6年度にRLGS法を用いて、ハムスターの亜種(Bio14.6とACN)の多型検出を行ない約600個のRLGSマーカーで連鎖解析を行ない全ゲノム地図を作成し、心筋症の表現形質と連鎖(Lod値>8.0)するRLGSマーカーを同定した。平成7年度は、心筋症遺伝子座と連鎖するRLGSスポットのクローニングを行い、そのRLGSマーカーをプローブとしてゲノムライブラリーをスクリーニングし、心筋症遺伝子座位同定のために行なうFISH(fluoroescence in situ hybridization)に供するDNAプローブを単離した。これを用いてFISHにより心筋症遺伝子座の染色体番号を9番の特定領域に同定した。
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