研究課題/領域番号 |
07270203
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤原 徹 東京大学, 農学部, 助手 (80242163)
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研究分担者 |
林 浩昭 東京大学, 農学部, 助教授 (60180973)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1995年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | β-コングリシニン / ダイズ / シロイヌナズナ / 硫黄欠乏 / O-アセチルセリン / 形質転換植物 |
研究概要 |
ダイズ種子貯蔵タンパク質β-コングリシニンβサブユニットは含硫アミノ酸含量が極端に低く、硫黄欠乏によって発現誘導を転写レベルで受ける。形質転換植物を用いた水耕栽培によって、βサブユニット遺伝子の発現は硫黄栄養だけでなく、窒素栄養条件によっても変動することをこれまでに明らかにしてきた。窒素栄養の場合には、βサブユニット遺伝子の発現は窒素欠乏によって抑制され、硫黄欠乏条件は相対的な窒素過剰状態であり、βサブユニット遺伝子の発現が硫黄欠乏によって誘導され、窒素欠乏によって抑制されることは、発現制御が窒素と硫黄の栄養状態のバランスに応答して行なわれていることを示している。植物における硫黄の代謝経路において、硫酸として吸収された硫黄は還元され、窒素化合物であるO-アセチルセリンと結合してシステインとなり他の化合物に交換されていく。硫黄欠乏状態は、システイン合成反応の還元硫黄の供給不足による、O-アセチルセリンの過剰状態を引き起こしている可能性があり、また、O-アセチルセリンが植物における遺伝子発現制御を含む様々な反応に重要な役割を持っている可能性が考えられる。 シロイヌナズナのO-アセチルセリン含量をHPLCを用いて測定したところ、硫黄欠乏条件で栽培した植物では含量が顕著に増加していた。さらに、硫黄が豊富に存在する条件でO-アセチルセリンをダイズに与えると、硫黄欠乏時に発現の増加するβサブユニットの蓄積量が増加し、硫黄欠乏時に発現の抑制されるグリシニンの蓄積量が減少した。このことはO-アセチルセリンが植物の硫黄欠乏の感知にと応答に重要な役割を持つ化合物であることを示唆している。
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