研究概要 |
1.トランスポゾンタギングによる形態異常突然変異株の分離と遺伝子クローニング シロイヌナズナから2枚の子葉が緑で融合してカップ状になるcup突然変異株を単離した。この芽生えは頂芽分裂組織を持たず致死である。本年度は次の5点を明らかにした。a)野生型株の球状胚の上部に2つの左右相称な子葉原基が生じるが、cpu変異株の球状胚は上部にリング状の盛り上りが生じてそれがカップ型の子葉を形成し、2つの子葉原基の間の将来頂芽分裂組織に分化する細胞も異常な伸長をする。b)カップ型の子葉も基本的に2枚の子葉から成り、これは正常に分化した組織・細胞から出来ている。c)cup型の芽生えは2つの独立な遺伝子CUP1A/CUP1Bが共に突然変異のホモ接合体になると生じる。d)CUP1A遺伝子は染色体の3番にCUP1B遺伝子は染色体の5番に位置する。e)CUP1B遺伝子中にシロイヌナズナのトランスポゾTag1が転移しためめに突然変異が生じた。 2.シロイヌナズナの花茎の重力屈性異常突然変異株の研究 シロイヌナズナの花茎の負の重力屈性反応を示すが、この反応に異常を示す6つの遺伝子座(SGR1-6)の突然変異株が単離され、それらを用いte本年度は次の点を明らかにした。a)これらに共通の性質は花茎を倒したとき屈曲が全く起きないか遅れてみられ、側枝が真上を向かず,正常な光屈性を示し、斜めから光を当てて育てると直接光の方向に花茎が伸びることであり、これらはSGRr遺伝子が重力刺激の感受か伝達に関係し、茎細胞の伸長に関係しないことを示す。b)sgr1,2,4は花茎と胚軸が重力屈性異常を示し、sgr3,5,6は花茎のみが重力屈性異常を示すことから重力屈性反応の機構の一部が花茎・胚軸・根で遺伝的に異なる。c)これらの遺伝子について染色体上の位置を決め、そにれ基づいて遺伝子歩行による遺伝子の単離を始めた。
|