研究課題/領域番号 |
07272202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
酒井 正春 北海道大学, 医学部, 助教授 (50162269)
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研究分担者 |
西 信三 北海道大学, 医学部, 教授 (20001894)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
1995年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | 腫瘍マーカー / GST-P遺伝子 / 転写因子Maf / 転写調節 / DNA結合 / ヘテロ二量体 / 軟骨 / 水晶体 |
研究概要 |
トリ肉腫ウイルスAS42より見いだされた癌遺伝子mafは転写因子をコードしており、その産物はJunとよく似た結合配列を認識し二量体で結合する.b-Zip構造を持つ他の転写因子ともヘテロ二量体を形成して転写を活性化する.ラット肝発癌過程の初期から特異的に発現されるGST-P遺伝子にMaf結合配列が存在することからラットより2つのmaf関連遺伝子をクローンし、GST-P遺伝子の発現にどのように関与するのか、標的遺伝子は何かを探索する目的でそれらの性質と発現を調べた.ラットから得られたmaf1, maf2産物の結合配列の決定を行うとMaf1はv-Mafで決定された配列よりも短い配列、-GCTGAC-と類似の配列が多く得られ、Maf2は-TGA/CC-およびやや結合活性の弱い類似の配列が得られた.Jun, Fos関連因子とのヘテロ二量体結合はv-MafがすべてのJun, Fos関連因子とヘテロ二量体を形成するのに比べ、Maf1はJun関連因子とは結合せず、Fos関連因子と二量体を作る.Maf2はFra2とは結合するが、ほかのJun及びFos関連因子と結合しない.これらのことからMaf1がMaf2に比べ多くの標的遺伝子を活性化し得る事が示唆された.15日目のラット胎児のin situハイブリダイゼーションを行った結果、手足、椎体等の軟骨、脊髄、目に強い発現が見られた.2つの遺伝子の発現は似ているが脊髄ではより内側の層にmaf1、やや外側の層にmaf2の発現が見られた.目の発現は水晶体に限局しており、maf2がより高く発現している.これらの結果、両遺伝子とも分化段階の極めて限られた時期に発現が見られ、軟骨、脊髄、水晶体等の細胞分化に重要な働きをしていることが示唆される.GST-Pとmafの発現は相関せずGST-Pの肝癌初期の発現への直接の関与は考えにくい.しかし、肝癌細胞の核抽出液にMafの結合配列DNAへの結合活性が存在し、ドミナントネガテイブ作用を持つと考えられるsmall maf遺伝子を細胞に導入するとGST-P遺伝子の発現が強く抑えられることなどからMafに関連する転写因子の存在が強く示唆された.
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