研究課題/領域番号 |
07272206
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
杉山 俊博 秋田大学, 医学部, 教授 (00127242)
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研究分担者 |
寺田 邦彦 秋田大学, 医学部, 講師 (60197796)
三浦 直行 秋田大学, 医学部, 助教授 (40165965)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 肝癌 / S-アデノシルメチオニン / LECラット / c-myc / p53 / DNA低メチル化 |
研究概要 |
肝炎・肝癌を自然発症するLECラットにおいては、DNAの低メチル化がそれらの発症に深く関与していることは、すでに我々が明らかにしてきた。また、前癌病変では、S-アデノシルメチオニン量の減少とc-mycやc-Ha-rasのような増殖関連遺伝子の低メチル化とが良く一致して起こるので、S-アデノシルメチオニンの癌化に対する化学予防作用は、このような増殖関連遺伝子を、メチル化することによって発現抑制するものではないかと考えられてきた。一方、近年、癌抑制遺伝子の1つであるp53の遺伝子産物には、核内でDNAが損傷を受けた際に、それを感知する機能を有していると考えられている。そこで、LECラットに低メチル食(コリン欠乏食)を与えた場合、p53の発現量がどのように変化するか検討した。さらに、生体内において重要なメチル基供与体で、また、癌化学予防薬として注目されているS-アデノシルメチオニンをLECラットに投与し、その肝癌に対する抗腫瘍効果を、p53の発現量の変化とともに検討した。 その結果、LECラットでは、15週令ですでにp53の発現亢進が見られ、また、DNAの低メチル化を促すコリン欠乏食を投与することにより、さらに早期からその発現亢進が認められた。このことより、DNAの低メチル化に伴い、DNAが損傷を受けていることが示唆された。さらに、DNAの低メチル化を防ぐ目的で、LECラットにS-アデノシルメチオニンを投与したところ、肝腫瘍の発生とともに、p53の発現も抑制された。このことは、S-アデノシルメチオニンにより、DNAの損傷が軽減され、腫瘍の発生が抑えられたことを示唆する。すなわち、S-アデノシルメチオニンには、抗腫瘍効果があるものと考えられ、これを投与することにより、肝癌発症を予防できることが期待される。
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