研究課題/領域番号 |
07273109
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)癌研究会 |
研究代表者 |
野田 哲生 財団法人癌研究曾, 癌研究所・細胞生物部, 部長 (10183550)
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研究分担者 |
千田 隆夫 名古屋大学, 医学部, 助教授 (10187875)
許 南浩 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70173573)
清水 素行 鳥取大学, 医学部, 助教授 (80130756)
澤田 典均 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30154149)
難波 正義 岡山大学, 医学部, 教授 (80069004)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
15,800千円 (直接経費: 15,800千円)
1995年度: 15,800千円 (直接経費: 15,800千円)
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キーワード | ヒト多段階発癌機構 / ヒト上皮由来培養細胞 / 三次元創傷治癒モデル / 子宮頚部前癌病変 / テロメレース活性 / アデノウイルスベクター / YACベクター |
研究概要 |
本研究班は、ヒト多段階発癌機構の詳細な生物学的解析に応用可能な、ヒト上皮由来培養細胞を用いての実験系を開発し、これを用いてヒト発癌機構を明らかにすることを目的に平成5年度にスタートした。本年度は、昨年度までに開発された3種のユニークな細胞培養系を用いた研究が順調な進展を見せた。まず、out-growth培養系を用いて単離されたeti-1遺伝子の解析が進み、ショウジョウバエのがん抑制遺伝子との相同性が発見され、さらに細胞増殖抑制活性が示された。三次元創傷治癒モデルを用いた解析では、表皮細胞の増殖に対する各種増殖因子の作用が明らかとなり、中でもTGF-βによる抑制作用が証明された。このTGF-βによる増殖抑制作用は、子宮頚部前癌病変由来の培養系においても観察され、さらにその後の癌化の進展に伴い細胞がこの増殖抑制作用に非感受性となる機構も一部明らかとなった。新たな培養系としては、ヒト肝細胞由来の培養系が確立された。またC型肝炎ウイルス持続感染系も得られており、これらの細胞系の今後の肝癌発生機構の解析への応用が待たれる。癌化過程を表すパラメーターとしては、テロメレース活性に関する研究が大きく進展した。まずヒト3番染色体上のテロメレース活性を抑制する遺伝子、即ち老化を促す遺伝子が3p13-21の領域に存在することが示された。また、ヒト不死化細胞や前癌病変由来細胞の解析から、子宮頚部発癌では既に前癌病変の段階からテロメレース活性が維持されており、それはヒトパピローマウイルス(HPV)遺伝子の機能によるものである可能性も示唆された。またこれらに加え、アデノウイルスベクターやYACベクターを用いたヒト上皮由来細胞への遺伝子導入法の開発を進め、これらの手法のがん抑制遺伝子の機構解析への応用を開始できたことも大きな成果であった。
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