研究課題/領域番号 |
07273209
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岡野 栄之 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (60160694)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1995年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | Argos / EGFモチーフ / 分泌性蛋白質 / Ras / MAPK カスケード / トラスジュニック・フライ / chordotonal organ |
研究概要 |
Argosは、EGFモチーフを有する分泌性蛋白質であり、複眼を構成する様々な細胞の分化及び翅脈の形成過程において抑制性のシグナルとして機能している。ArgosとRas/MAPKカスケードの関係を明らかにするために、argosの機能欠損型変異体およびargosをhsp70のプロモーターの支配下で異所的に過剰発現させることのできるトランスジェニックフライを、Ras/MAPKカスケードを構成する遺伝子群の変異体と交配し、表現型を解析した。argosの過剰発現により生ずる表現型は、Ras/MAPKカスケードの情報伝達を増強する変異によって抑圧され、減弱する変異によって亢進された。また、argosの機能欠損型変異により生ずる表現型は、Ras/MAPKカスケードの情報伝達を増強する変異によって亢進され、減弱する変異によって抑圧された。従って、Argosは、Ras/MAPKカスケードよりも遺伝学的に上流で作用する抑制性のシグナルとして機能していると考えられた。また、胚発生期における表現型と発現パターンについて免疫組織化学及びin situハイブリダイゼーションにより解析した。argosの機能欠損型変異体において、伸展受容器であるchordotonal organの数が野生型のものと比べ増加していることが明らかになった。一方、hsp70プロモーターの支配下でargosを異所的に過剰発現した場合には、chordotonal organの数が野性型のものと比べ減少していることが明らかになった。従って、Argosはchordotonal organの適正な数を調節に必要な抑制性因子として機能していると考えられた。現在、Argosの機能と作用機構を遺伝学的・生化学的により詳細に解析するとともに、その哺乳類相同分子の検索を進めている。ヒト相同分子が得られれば、Rasシグナル系の亢進を伴う腫瘍の治療など臨床への応用も期待できるだろう。
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