研究課題/領域番号 |
07273219
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 均 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70183829)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1995年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | Ki-1リンパ腫 / t(2;5)染色体相互転座 / p80^<NPM / ALK> / 抗p80抗体 |
研究概要 |
我々はKi-1リンパ腫のSCIDマウス内in vivo腫瘍細胞株を樹立し、この株がこれまで報告のないリン酸化蛋白質(p80と名づけた)を高発現していることを見いだした。p80蛋白質の部分アミノ酸配列を決定したところインシュリン受容体ファミリーに属するLtk(Leukocyte tyrosine kinase)に類似した未知の配列を持つことがわかり、このペプチド配列より作成したオリゴヌクレオチドを使ってcDNA断片を増幅してプローブとし、腫瘍細胞のcDNAライブラリーをスクリーニングして約2.6kbのcDNAをクローニングした。この塩基配列を決定したところ、5'末約450bpは核蛋白質ヌクレオホスミン(NPM)と一致し、下流は未知のチロシンキナーゼをコードしていた。我々とほぼ同時期にMorrisらはt(2;5)転座点近傍に発現している遺伝子をクローニングしALKと名づけたがcDNAは基本的にp80と同じであった。cDNAを用いたSouthern blottingとFISH mappingにより、p80遺伝子は転座点を挟んで存在するNPMとALKの融合遺伝子であること、リン酸化蛋白質p80は染色体転座によって特異的に発現したチロシンキナーゼ融合蛋白質であると結論した。また、p80cDNAの遺伝子導入によってマウスNIH3T3細胞がトランスフォームすることから細胞癌化能をもつこともわかった。 一方、免疫組織学的な同定を目的として抗p80ポリクローナル抗体を作成し21臨床例で調べたところ、t(2;5)を有するKi-1リンパ腫の全例に融合蛋白質が発現していることがRT-PCRで確かめられた。さらに、105症例のKi-1リンパ腫を融合蛋白質p80陽性群と陰性群に分け臨床病理学的差を検討してみたところ、両者には病態上著しい差が認められ、p80陽性群では平均発症年齢が若く、5年生存率の比較では予後良好であることも明らかになった。
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