研究課題/領域番号 |
07273228
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高橋 雅英 名古屋大学, 医学部, 助教授 (40183446)
|
研究期間 (年度) |
1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1995年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
|
キーワード | retプロトオンコジーン / 多発性内分泌腫瘍症 / MEN2A / MEN2B / チロシンキナーゼ |
研究概要 |
retプロトオンコジーンは受容体型チロシンキナーゼをコードし、甲状腺髄様癌、副腎褐色細胞腫を遺伝的に発症する多発性内分泌腫瘍症(MEN)2A型、2B型の原因遺伝子であることが明らかになっている。本研究ではMEN2A、MEN2B型ret遺伝子をマウス線維芽細胞株NIH3T3に導入し、その活性化機序を生化学的に解析した。 まず、MEN2A型あるいはMEN2B型変異を導入したret遺伝子をNIH3T3細胞にトランスフェクトした結果、いずれも高いトランスフォーミング活性が認められ、変異によりretが癌遺伝子として活性化されたことが証明された。つぎに、変異型Ret蛋白を発現しているNIH3T3細胞を^<35>S-メチオニンでラベルし、抗Ret抗体で免疫沈降した後、沈殿物を非還元状態で電気泳動を行った。その結果、MEN2A型変異Ret蛋白は細胞表面でS-S結合を介した二量体を形成していることが明らかになった。同様に、細胞を^<32>Pでラベルし、免疫沈降を行い解析したところ、二量体を形成したRet蛋白のみが強くチロシンリン酸化を生じており、活性化状態にあった。Ret蛋白の二量体形成はMEN2Aの患者より得られた腫瘍組織においても検出できたので、実際にin vivoにおける腫瘍発生において重要な役割を果たしていると考えられる。以上の実験結果より、MEN2A型変異では細胞外ドメインのシステインに変異を生じることにより、本来分子内S-S結合をしていたシステインが1つ失われ、フリーになったもう一方のシステインが分子間S-S結合を形成するモデルが考えられた。 一方、MEN2B型変異を有するRet蛋白を発現するNIH3T3細胞を同様の方法で解析した結果、MEN2B型変異Ret蛋白は二量体を形成せず、単量体のままで活性化されていた。MEN2B型変異はチロシンキナーゼドメインに存在するので、変異によりキナーゼドメインの構造が変化し、活性化されているものと推定された。
|