研究課題/領域番号 |
07274207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大泉 康 東北大学, 薬学部, 教授 (00006355)
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研究分担者 |
松永 公浩 東北大学, 薬学部, 助手 (90222306)
古川 賢一 東北大学, 薬学部, 助手 (20165468)
中畑 則道 東北大学, 薬学部, 助教授 (60045804)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1995年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | パラグアイ産生薬 / 海洋微細藻 / ゴニオドミンA / キノリドマイシン / ハレナキノン / Ca遊離 / アクチン / PI-3-Kinase |
研究概要 |
1.生薬に含まれる細胞毒性成分の単離: パラグアイ産生薬Tapecue(Acanthospermum australe)のメタノール抽出エキスの酢酸エチル可溶部をL1210およびP388培養細胞を用いた生物活性試験を指標としながら、順次分離製を行ったところ、細胞毒性成分として6種のメランポライド型セスキテルペンラクトンを得ることに成功した。このうち1種は新規化合物であり、L1210培養細胞に対するIC_<50>値は5x10^<-6>Mであった。現在、構造活性相関を検討している。 2.海洋微細藻の産生する細胞毒性成分: 6藻類、19種類の海洋微細藻について実験室での試験培養を試みたところ、Scrippsiella trochoidea,Cachonina nieiの抽出エキスに細胞毒性がみとめられた。まずScrippsiella trochoideaの大量培養を行い、抽出エキスの酢酸エチル可溶部をL1210およびP388培養細胞を用いた生物活性試験を指標としながら、順次分離精製を行ったところ、10^<-5>g/mlの濃度でP388に対して90%、L1210に対して75%の阻害活性を示す画分を得ることができた。現在この物質の構造を明らかにすることを行なっている。 次に、有孔虫Marginopora vertebralisに共生する珪藻Entomoneis sp.を単離し、その大量培養に成功した。この培養液より藻体をろ取し、酢酸エチル、ブタノールおよび水画分に分画した。そのうち酢酸エチル画分を分画した。各画分において抗腫瘍活性試験を行ったところ3つのフラクションに細胞毒性が認められた。現在、活性成分の精製を行っている。 3.海洋生理活性物質を用いたがん転移、血管新成および細胞増殖阻害機構の解明: まず、Goniodoma pseudogonioulaxより単離され、抗腫瘍活性が強いことが明らかにされているゴニオドミンA(ポリエーテルマクロライド)の作用を詳細に検討した結果、アクチンの機能を活性化するというユニークな作用を見いだした。さらに、ヒトアストロサイトーマ細胞において細胞内Ca濃度の上昇とイノシトールリン酸の蓄積を引き起こし、アクチン重合体を消失させ形態変化を引き起こすことが明かとなった。現在、細胞運動に関連して癌の転移機構に関する検討を行っている。また、血管新成においては、一般的な管空形成阻害と異なり細胞がいったん集合した状態で抑制するという興味深い阻害作用が認められ、この新しい作用メカニズムの解明を今後検討する。 次に、放線菌より得られた抗腫瘍成分であるキノリドマイシンは筋小胞体からCa遊離を引き起こし、その作用がリアノジン受容体を介するものと介さないものがあることを今回はじめて明かにした。細胞毒性との関連については今後の重要な課題である。 抗腫瘍活性を示す海綿成分のハレナキノンやセストキノンがPI-3-Kinaseを抑制することを見いだした。近年、PI-3-Kinaseを抑制することが細胞の腫瘍化を抑える有効な手段であることが示唆され、この酵素が脚光を浴びておりPI-3-Kinase阻害作用と抗腫瘍作用との関連を検討している。
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