研究課題/領域番号 |
07274220
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉山 雄一 東京大学, 薬学部, 教授 (80090471)
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研究分担者 |
加藤 将夫 東京大学, 薬学部, 助手 (30251440)
鈴木 洋史 東京大学, 薬学部, 助手 (80206523)
寺崎 哲也 東京大学, 薬学部, 助教授 (60155463)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 5-FU / ファーマコキネティクス / ファーマコダイナミクス / AUC / CPT-11 |
研究概要 |
(1)5-FUを中心にin vitroで種々の癌細胞を用いて殺細胞効果の測定されたデータを基に、抗腫瘍効果に対する速度論モデルを確立するとともに、抗癌剤に固有の殺細胞効果に関するパラメーターを算出した。用いる5-FU濃度により、その殺細胞形式が異なることが明かになった。すなわち、高濃度領域においては、Type-1型の作用、すなわち、(薬物濃度)X(接触時間)の積(すなわちAUC)に依存して抗癌効果が観察されるのに対して、低濃度領域においては、Type-2型の作用、すなわち、長時間、抗癌剤を接触させないと殺細胞効果が発現されないこと(時間依存性の作用)が実証され、それを説明するpharmacodynamic modelを確立することができた。一方で、文献検索により、ヒトにおける5-FUの体内動態データを収集し、投与量依存的に変動する血中濃度推移(非線形動態)および肝動注時と静脈内投与時の体内動態の違いを説明できる生理学的薬物速度論モデルを構築することに成功した。そこで、この両方の情報(pharmacokineticsおよびpharmacodynamics)を基に、現在、臨床で用いられている長時間(1-2週間)の持続肝動注法、持続静注法および比較的短時間(数時間)での持続肝動注法を比較検討した。Pharmacokinetic model,pharmacodynamic modelを統合することにより、以下の結論を得ることができた。(i)最近、臨床で用いられ始めている短時間持続肝動注が有効であるのは、従来の“代謝拮抗剤である5-FUの作用形式はType-2型である"との常識に反して、Type-1型で作用しているためである、(ii)従来から用いられている長時間の持続肝動注法、持続静注法が有効であるのは、常識通りのType-2型の作用のためである。 (2)トポイソメラーゼ阻害剤であるCPT-11の副作用である激しい下痢の機構として、“その活性代謝物であるSN-38のクルグロン酸抱合体が胆汁中に能動輸送により排泄された後、腸管内で脱抱合されて活性体になるためである"可能性がある。このことを証明する第一ステップとして、in vivo系、in vitro膜vesicle系を用いた解析を行い、SN-38glucuronideが一次性能動輸送担体であるmultispecific organic anion transporter(MOAT)で輸送されることを証明することができた。
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