研究課題/領域番号 |
07274223
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
本間 美和子 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (40192538)
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研究分担者 |
湯浅 保仁 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (80111558)
本間 好 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60192324)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ホスホリパーゼC / 大腸癌 / インヒビター / 家族性大腸腺腫症 |
研究概要 |
イノシトールリン脂質ホスホリパーゼC(PLC)は、細胞膜を介する刺激に依存して活性化され、細胞内セカンドメッセンジャーを産生する情報変換酵素である。われわれはPLC分子内にPLC活性を抑制する領域(PCI)が存在することを見い出している。本研究はPLC活性を細胞レベルでより効率よく抑制するPCIペプチドインヒビターを開発し、その有効性及び制癌作用を検討することを目的とした。 1)癌細胞の増殖抑制作用:家族性大腸腺症(FAP)に由来する大腸癌細胞株、KMS-8,KMS-4では細胞膜透過性のmyristoylated-PCIペプチド[myr-PCI(Y)]添加により、血清刺激時のPLC活性化すなわちIP3産生と、DNA合成誘導をIC50=1μM以下で顕著に抑制した。また、癌細胞に特徴的な形質であるソフトアガ-中でのコロニー形成能を検討したところ、KMS-8細胞のコロニー形成は2μMのmyr-PCI(Y)ペプチド処理により著しく減少した。さらにFlow cytometryを用いた解析から、血清刺激時にG0/G1期からS期へ進行する細胞集団がmyr-PCI(Y)処理により著しく低下することも明らかになった。しかしTyrからPheへのアミノ酸置換によりin vitroのPLC抑制作用が低いペプチド[myr-PCI(F)]は上記の抑制効果が低かった。 2)他の細胞を用いた解析:培養線維芽細胞を用いて、各種の増殖因子受容体に会合する個別のPLCアイソタイプの活性化(PLC-γ,PLC-β)に対するインヒビターの効果を検討した。Swiss 3T3細胞を血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、Bombesinでそれぞれ刺激した場合にみられるIP3産生とDNA合成の誘導は、myr-PCI(Y)処理により著しく抑制された。 3)PCI修飾体の改良:ペプチドの細胞膜透過性の向上と抑制効果の上昇を目的としてN-myristoylation以外の30種以上のペプチド誘導体を作成した。その効果を判定したが、その中ではmyr-PCI(Y)ペプチドが最小濃度で有効であり、かつ細胞毒性が低かった。 以上の結果から、本ペプチド誘導体が細胞レベルでのPLC阻害剤として有効であること、すなわちPLCを経由する情報伝達を遮断しうるものとして使用できることが示された。また、FAP由来大腸癌細胞株ではPLC活性化に依存する細胞増殖を行っている可能性が示唆された。
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