研究課題/領域番号 |
07274249
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
西村 泰治 熊本大学, 医学部, 教授 (10156119)
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研究分担者 |
小川 道雄 熊本大学, 医学部, 教授 (30028691)
松下 祥 熊本大学, 医学部, 助教授 (50167649)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
1995年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 癌特異的ペプチド / HLA分子 / 抗原提示 / 抗腫瘍免疫 / CD4^+T細胞 / 変異Ras蛋白 / 変異P53蛋白 |
研究概要 |
HLAクラスII分子は、抗原提示細胞が取り込んだ抗原を、蛋白分解酵素により分解して生じたペプチドを結合し、これをCD4^+T細胞に提示して活性化する。外部より取り込んだ抗原由来のペプチドを結合しないHLA分子は、その細胞が産生する蛋白に由来するペプチドを結合している。したがって癌化にともない、癌関連遺伝子に生じたミスセンス変異に由来するアミノ酸残基の置換を有するペプチドが、HLAクラスII陽性の癌細胞表面、あるいは癌細胞を取り込んだ抗原提示細胞の表面に発現し、CD4^+T細胞に免疫応答を誘導する可能性が十分に考えられる。さらにp53の突然変異により蛋白の構造が変化して蛋白分解酵素への感受性が増し、癌細胞では正常細胞には見られないp53ペプチドが出現する可能性が考えられる。本研究は、このような癌細胞特異的ペプチドにより、抗腫瘍免疫応答が誘導されるか否かを解析することを目的として行った。その結果、以下の成果を得た。野生型Rasペプチドに弱い自己反応性を示し、癌細胞に検出される変異Ras蛋白に対応する癌特異的変異Rasペプチドにより強い応答性を示す、ヒトCD4^+αβT細胞クローンを樹立した。このT細胞は、それぞれのリコンビナントRas蛋白に対しても反応した。癌特異的変異Rasペプチド上の1アミノ酸残基を置換したアナログは、野生型ペプチドと比較して、ヒトT細胞にはるかに強い免疫応答を誘導した。健康な3人のドナーの末梢血T細胞より、HLAクラスII分子により提示された正常なアミノ酸配列を有する、3種類のp53ペプチドに特異的な、CD4^+αβT細胞クローンを樹立した。このうちの1つは、癌細胞で検出される突然変異を有するリコンビナントp53蛋白にも反応した。このようなT細胞クローンは、癌細胞表面のHLAと癌特異的ペプチドの複合体、あるいは癌細胞を貪食した抗原提示細胞上のそれを認識して、癌細胞を直接あるいは他の細胞を活性化することにより、間接的に攻撃できる可能性を秘めており、この点を今後検討する予定である。
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