研究課題/領域番号 |
07274261
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
清水 信義 慶応義塾大学, 医学部, 教授 (50162706)
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研究分担者 |
高柳 淳 慶応義塾大学, 医学部, 助手 (80245464)
蒲生 忍 慶応義塾大学, 医学部, 講師 (90122308)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1995年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 遺伝子治療 / 遺伝子導入 / モノクローナル抗体 / イムノジーン / エンドサイトーシス / 一本鎖抗体 / EGFレセプター / ターゲッティング |
研究概要 |
癌の遺伝子治療のためには、生体内で様々な存在様式を示す癌をターゲッティングし効率的に外来遺伝子を導入できる手段を開発しなければならない。本研究はこれを実現するため、2つの目標を追求した。第1は独自に開発し培養細胞レベルでターゲッティングに成功した新しい遺伝子運搬体「抗体/DNA複合体」イムノジーンを用い、個体レベルでの扁平上皮癌の遺伝子治療法を確立することである。研究過程で抗ヒトEGFレセプター抗体B4G7のFab断片を使用する(Fabイムノポーター)ことにより抗体全体を利用する50倍以上高い遺伝子導入効率が得られることが判明した。腫瘍移植ヌードマウスにおいて、レポーター遺伝子を用いたこのFabイムノジーンにより、腫瘍特異的な遺伝子導入が確認された。またFabイムノポーターでHSV-TK遺伝子を導入する(TK-Fabイムノジーン)とガンシクロビル(GCV)に対するLD50が非導入細胞の1/100-1/1000となり、著しい薬剤高感受性を示した。さらにTK-FabイムノジーンとGCVの併用により、腫瘍移植ヌードマウスにおいて顕著な抗腫瘍効果が認められた。第2の目標は、抗体/DNA複合体を効率よく作製しかつ臨床での有効性を高めるため複合体の抗体部分を人工一本鎖抗体と置き換えることである。そのため、ハイブリドーマB4G7のmRNAからRT-PCR法を用い一本鎖抗体遺伝子を作製し全塩基配列を決定した。その産物はB4G7抗体と競合した。メタノール資化性酵母Pichia pastorisを用いた発現系では、大腸菌の20-100倍に相当する培地1リットル当たり20mg-100mgの一本鎖抗体が得られた。本研究で、イムノジーン法は生体内の特定細胞へのターゲッティングも可能な遺伝子導入法であることが示され、人工抗体の利用も合わせ将来の遺伝子治療に有効なの技術として期待できる。
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