研究課題/領域番号 |
07274270
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
遠藤 玉夫 (財)東京都老人総合研究所, 糖鎖生物学部門, 研究室長 (30168827)
|
研究期間 (年度) |
1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
1995年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
|
キーワード | 糖蛋白質 / 抗糖鎖抗体 / 癌抑制遺伝子 / 糖鎖工学 / 癌遺伝子 / 糖鎖変化 / 腫瘍マーカー |
研究概要 |
我々は糖蛋白質糖鎖の微量構造解析技術法を確立し、個々の癌についてその産生する特定の糖蛋白質を選んで正常細胞の産生するものと糖鎖構造を比較検討し、得られた知見を応用して新しい癌診断法を開発する研究を進めてきた。本年度は肝癌の新しい診断法の開発を目指し、肝癌で出現が注目されるアルカリ性ホスファターゼに関する研究を実施した。まず、ラットの肝臓と肝癌細胞からそれぞれ酵素を精製し、両者の糖鎖構造について詳細に解析した。その結果、癌化に伴い正常酵素では見いだされたタイプI構造の消失やフコシル化高マンノース型糖鎖の新たな出現が見られた。これらの変化は有望な糖鎖マーカーとなることが期待される。一方、昨年度から実施している抗糖鎖抗体の機能改善に関する研究は、引き続き精力的に進め抗原結合部位への糖鎖導入により抗原親和性を上昇させうることを明らかにした。今後癌関連抗糖鎖抗体の癌早期診断、イメージング、癌治療などその応用範囲を一段と広めることが期待される。また、遺伝子診断・遺伝子治療を指向した基礎研究にも着手した。本年度はその基礎段階として癌遺伝子や癌抑制遺伝子の導入・欠損に伴う糖鎖変化について解析した。活性化したras遺伝子をIL-3依存性の血球系細胞に導入しIL-3非依存性の形質転換細胞を得、両者の示す様々な表現型と糖鎖について比較検討した。形質転換細胞は、腫瘍形成能を獲得しており、細胞接着に関与するインテグリン分子群の発現量に変化が見られた。ところが、繊維芽細胞等で広く認められている細胞の形質転換に伴う糖鎖高分岐化は認められず、むしろ糖鎖不全的な変化が観察された。一方、癌抑制遺伝子導入に伴い、重要な機能蛋白質であるグルコース輸送体の糖鎖が著しく変化した。これらの変化が誘導されるメカニズムについて現在分子レベルで解析している。
|