研究課題/領域番号 |
07276211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桑田 昇治 東京大学, 医学部(病), 助手 (00241993)
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研究分担者 |
中川 秀己 東京大学, 医学部(病), 助教授 (20114580)
前島 正基 東京大学, 医学部(病), 助手 (10251307)
柴田 洋一 東京大学, 医学部(病), 教授 (30010474)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
1995年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 抗原 / トランスポーター / TAP / 遺伝子 / ゲノムDNA / PCR / PCR-RFLP |
研究概要 |
TAP(transporter associated with antigen processing)分子は、抗原ペプチドを粗面小胞体(ER)内に能動的に輸送する機能を持つATP駆動型のトランスポーターである。HLAクラスI拘束性の抗原処理に際し、断片化ペプチドは、TAP分子によりER内へと運ばれ、β2ミクログロブリンおよびHLAクラスI分子重鎖と会合しHLA分子に結合した状態で、細胞膜表面上に運ばれ、抗原としてT細胞に提示される。ヒトTAP遺伝子は多型を呈し、TAP1遺伝子4種類以上、TAP2遺伝子8種類以上の対立遺伝子が存在する。本研究では、mismatch-PCR-RFLP法によるヒトTAP遺伝子多型解析法を開発した。ヒトTAP遺伝子多型と抗原ペプチドの輸送の選択性の関連、および選択されたペプチドのHLA分子との結合について検討する候補の一つとして、臨床型が重症であり、血中IgE値が8,000U/ml以上を示すアトピー性皮膚炎患者におけるTAP遺伝子多型の解析を行なった。しかしながら、この患者群では、TAP対立遺伝子頻度に対照との有意差を認めなかった。TAP分子が関与するHLAクラスIの抗原処理機構は、疾患発症には第一義的な役割は果たしていないと想定される。アトピー性皮膚炎では、アレルゲンと想定されていたダニ抗原の本体が、システインプロテアーゼと考えられている。TAP対立遺伝子の違いにより、抗原ペプチド輸送の選択性が異なり、抗原処理、抗原提示に影響を及ぼすと推定される。ヒトTAP遺伝子多型とペプチド選択性の関連についての検討は、現時点で皆無である。本研究では、ATP駆動型トランスポーターであるTAP分子の、遺伝子解析とともに、ペプチド輸送の直接的な解析法の確立を目指している。さらに、抗原ペプチドが抗原提示されるに至るまでの、抗原処理機構および抗原提示機構の研究の進展により、疾患の発症機序、対応抗原の解明、抗原処理および抗原提示の制御へと進むものと期待される。
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